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狼守町の比較的新しい住宅地に位置する鈴代神社すずしろじんじゃに住む付喪神の銀鈴しろがねすずは夢にうなされ飛び起きた。

いつもの夢とは違い少女が動いたのだ。

夢の中の少女は光の無い真っ黒な瞳でこちらを見つめ、『助けて、ここから出して』と繰り返す。

銀鈴が近寄れずに居ると、少女の背後のドロドロとしたが少女を蝕むように覆っていった。

暗闇に溶け込んだは音も立てずに銀鈴の背後に居た。

気付いた頃にはもう遅かった。襲われる。

そう思った瞬間には現実の世界に戻っていた。いつもの布団の中で、いつもの天井を見上げている。

「夢の内容が変わった…もしかしたら姉様に何かあったのかもしれない。それが良いことだといいのだけれど」

そっと布団の上で呟く。

外はまだ日が出ていない。だが、空は白んできている。

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