第27話

夕方になっても、スカーレットは、うちに帰りたくなかった

おじいちゃんが、怖かった。

今日のおじいちゃんも、怖かった。

「ママ、ファジー、助けて」と、泣き出した。

すると、下からがやがや声がしてきた。スカーレットは、なんだろう?と、思い、下を覗くと、こびとさんたちが、スカーレットを探して、やってきていた。

スカーレットは、上から声をかけると、こびとさんたちは、木の上まで、上がってきた。

ちょこちょこ、歩き回っている姿は、可愛かった。


スカーレットは、ちょっと安心出来た。こびとさんたちと、遊んでいるうちに、おじいちゃんのことは、少し忘れられていた。

こびとさんたちは、スカーレットの気持ちがわかったかのように、来てくれた。

日が暮れると、木から降りて、光る花の灯りを頼りに、家へ帰って行った。

窓から入ると、そっと部屋のドアを 開けた。

リビングに行くと、おじいちゃんはいなかった。

キッチンにもダイニングにもいなかった。部屋へ行こうと思ったけど、おじいちゃんに怒られるのが、怖くて、扉を開けられなかった。


スカーレットは、一人で、夕食の用意を、始めた。おじいちゃんが、入ってこないのを願って。

でも、スカーレットは、後ろめたかった。大好きなおじいちゃんを、恐れていることを。

でも、あの赤いおじいちゃんの顔は、恐ろし過ぎた。スカーレットも、負けじとできるだけ怖そうな絵を描いたけど、勝てるかわからなかった。もう一つお面があるのが、気がかりだった。


食事が出来上がると、スカーレットは、思い切って、おじいちゃんの部屋へ行った。扉を叩いたけど、返事はなかった。スカーレットは、扉を開けると、ベッドでお面を顔に被せ寝ている姿を見た。

スカーレットは、サーと、血の気がひいた。


「おじいちゃん?」と、そっと言うと、おじいちゃんは、爆睡していた。スカーレットは、思い切って、お面を取った。すると、おじいちゃんの顔は、青くなっていた。びっくりして、お面を持って部屋を飛び出した。

おじいちゃんは、「う、うっ」と苦しみだし、目が覚めた。その顔は、青いお面の顔だった。お面は、おじいちゃんの正気を取りそこね、中途半端な、鬼となった。鬼は、お面を取り返そうと、スカーレットを探し出した。バタんっ、バタンっと、一つ一つ扉を開けて行った。


しかし、すでにスカーレットは、森に逃げていた。


光る花の灯りを頼りに、森の奥へと進んで行った。大きな木の上の家に、登り、スケッチブックとか一式を持つと、風船の家に向かった。

風船の家に着くとすぐに、中に入り、空へ森を抜けて浮いて行った。

そして、スケッチブックを、開き、

光る花を描いて、色をなんとか塗り、それから、灯りを取った花を描いて森の中を暗くした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る