第24話

次の日、おじいちゃんも、スカーレットも、なかなか目が覚めなかった。

スカーレットは、おじいちゃんが、暴れてぐちゃぐちゃにした、リビングと、ダイニングと、キッチンを、夜中までかかって、片付けていた。

ファジーに、ぐちゃぐちゃになった家を見せたくなかった。


ようやく目が覚めたのは、朝の十時くらいだった。スカーレットは、ガバッと起きると、時計を見た。

「あ、ファジーが、来る時間だ。急がなきゃ」と、服を着替えると、リビングまで行った。


玄関の扉を叩く音で、スカーレットは、急いで、扉を開けた。


「おはよう。スカーレット」と、言うと、スカーレットも、「おはよう、ファジー」と、挨拶を交わすと、「あのね、あたし、歌覚えたよ!」と嬉しそうに話した。

「そう。それは、楽しみだわ。是非聴かせて」と言うと、スカーレットの部屋に向かった。


部屋に入ると、スカーレットは、ノートとペンまで用意して、歌い出した。ファジーは、嬉しそうに聞いていた。歌い終わると、ファジーは、拍手した、「上出来よ。とてもうまいわ。」と言うと、「あたし、ジも書けるよ」と言うと、ノートに、歌いながら、歌詞を書いて行った。ファジーは、びっくりした。


「こんなに早く覚えるなんて」と、スカーレットの賢さに、感動した。

今度は、別の歌を歌い出した。ノートに歌詞を書きながら。

「ああ、なんて賢い子なの。素晴らしいわ。」と、ファジーが言うと、「ファジーに、聴かせたくて、がんばったの。喜んでくれて、あたし、とても嬉しいわ」と、言うと、ファジーに、抱きついた。ファジーも、手を回しスカーレットを、抱きしめた。


「頑張ったわね。それじゃ、今日はおさらいしましょう。ゆっくりでいいから、字を書いて行きましょうね」といい、ファジーとスカーレットは、ゆっくりと、進めて行った。


昼頃になると、おじいちゃんが、顔を出した。

「ファジーさん、来ていたんですか。挨拶が遅れて申し訳ない。今、昼ごはんを、作りますね」と、言うと、扉を閉めた。

スカーレットは、とても不安になった。それは、スカーレットが、思っていた以上に、スカーレットには、恐怖になっていた。


スカーレットは、具合が悪くなり、顔色は、真っ青になっていた。

体もガタガタ震えだした。ファジーは、びっくりして、「スカーレット、どうしたの?具合悪いの?横になる?」と、言うと、スカーレットは、ファジーに抱きついた。その体は、小刻みに震えていた。


ファジーは、どうすればいいんだろうと、悩んだ。さっきまで輝いていた子が、いっぺんして、今は身体を震わして怖がっている。


ファジーは、「今日は、少し休んだ方がいいわ。勉強は、また、今度やりましょう。」と、言うと、スカーレットは、ぐずぐずと泣き出した。

「どうしたの?いったい何があったの?無理には聞かないけど、私で良ければ、話を聞くわ」と言うと、「話せない。昨日、怖いことあったの。それしか言えない」と言うと、「ファジー、嫌じゃなきゃ、ちょっとでいいから、こうしていて。そしたら、もう大丈夫だから。」と、言うと、「わかったわ。落ち着くまで、抱っこしたげるね」と、ファジーは、言うと、スカーレットを、自分の前に座らせて、後ろから抱きしめた。

しばらく抱きかかえていたら、おじいちゃんが、部屋の扉を叩いた。

スカーレットは、ビクッとした。

扉が、開くと、おじいちゃんが、「お昼ご飯が出来たので、どうぞ来てください」と言うと、スカーレットは、「おじいちゃん、私、今日は部屋で食べたい」と、言った。

スカーレットには、昨日突然ダイニングに化け物が、入って来たことが、鮮明に焼き付いていた。

おじいちゃんは、「そうか、なら、今持って来るよ。ファジーさんもそれでいいですか?」と、聞くと「はい、大丈夫です。お願いします。」と、言うと、おじいちゃんは、ダイニングに、戻って行った。

スカーレットは、ファジーが、抱きしめてくれていたので、少し安心し出した。

あの化け物は、本当のおじいちゃんじゃない。あのお面のせいだ。と、自分に言い聞かせた。


おじいちゃんは、食事をおぼんの上にのせ、運んで来てくれた。

スカーレットと、ファジーは、「ありがとう」と、お礼を言うと、食べ出した。朝ごはんを、食べてなかったスカーレットは、残さず食べた。

ファジーも、食べ終わった。

しばらくすると、おじいちゃんが来て、「お口にあいましたか?」と、聞くと、「はい。美味しかったです。ありがとうございます」と、お礼を言った。


スカーレットは、だいぶ落ち着き、「私また、勉強やる」と言い出した。ファジーは、ホッとした。


「じゃ、今度は、新しいお歌を歌う?」と言うと、「うん!」と、頷き、ファジーは、歌を歌い出した。


それは、軽やかで明るい歌だった。ファジーは、少しでもスカーレットの不安を取り除いてあげたかった。

スカーレットも、夢中で覚えた。


夕方になり、ファジーは、帰る時間になり、おじいちゃんと、スカーレットに挨拶をすると、馬車に乗り街まで帰りに行った。

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