第23話

それから、いったん家に帰ると、ファジーから、教わったジの練習をしようと、部屋に入った。


スカーレットは、今度ファジーが、来る前に、ジが、全部書ける様になろうと、思い、ダイニングで、ノートに、何度も書いていた。


元々、字を知らないスカーレットには、とても難しくもあった。スカーレットは、それを克服しようと、一生懸命に、歌を歌っては、字を書くと言うことを、繰り返してやっていた。


そんな中、おじいちゃんは、娘の部屋だったコレクション部屋の、中にいた。


そして、二つのお面が、床に落ちているのを見ていた。


おじいちゃんは、孫が、触って落としたのかと思ったが、孫は、そのままにしておくこどもじゃないし、黙っている子でも、ない。と、思った。

なら、なんで奥に置いといたお面が床に落ちているのだろう?と、不思議になりながら、お面を手に取ると、元の場所に戻した。


しかし、おじいちゃんは、すぐに、お面を出し、ソファに座ると、布でお面を拭きながら、虚ろな目で二つのお面を見ていた。


そして、一つのお面をおじいちゃんは、顔に被せると、鏡で見てみた。


おじいちゃんは、気が済んで、外そうとすると、顔に完全に被り、取れなくなった。


困ったおじいちゃんは、スカーレットを、探した。


スカーレットは、ダイニングに入って来たものに、ひどくびっくりした。「きゃーーーー!」と、叫んで逃げた。


「おじいちゃん!おじいちゃん!どこ?助けて!」と、おじいちゃんを探しながら、逃げた。


おじいちゃんは、自分の姿に気づかなくて、スカーレットを、追いかけた。


自分の部屋に入ると鍵を閉め、スケッチブックを、だし、必死に強そうなものを描いて、色を塗った。

それは、馬の顔をした、動物だった。しかし、後ろ足で立っていて、前足は、人の腕のようだった。

乾くと、その絵から、ニュ〜と、姿を現した。そして、スカーレットは、部屋から出て、さっきの化け物を探した。


化け物は、姿見の鏡の前で、立っていた。


「なんだ?この化け物は?」と、おじいちゃんは、茫然と自分を、見ていた。顔は鬼の面が本当にお面ではなくそのまま鬼の顔で、服は破れ、図体は、二メートル半以上あるんじゃないかとくらい高く、爪は鋭く長く、体は、赤かった。


スカーレットは、あの化け物を倒して!と、言うとスカーレットの作った化け物は、鬼に突進して行った。


鬼は本能的に、攻撃体制に入った。おじいちゃんは、戦う気持ちはなかった。しかし、鬼は勝手に、暴れ出した。スカーレットの作った化け物も、強かった。キッチンに二人が入ると、スカーレットの描いた化け物が、化け物を、突き飛ばし、テーブルにぶつかり倒れるとコーヒーが顔面にかかって、口の中に入った。すると、赤鬼は、急に小さくなって行き、「ぎゃー!」と言いながら、顔がお面に戻って行き、お面が完全に取れると、おじいちゃんの顔が見えた。スカーレットは、びっくりして、恐る恐るおじいちゃんに近づいて行った。


確かに、その顔は、おじいちゃんだった。横に化け物だった顔そっくりのお面が落ちていた。


スカーレットは、自分が描いた化け物に、「ありがとう。おじいちゃんを、お部屋に連れて行ってくれる?」と聞くと、素直に、おじいちゃんを抱きかかえ部屋まで連れて行ってくれた。


キッチンにある、赤鬼のお面をどうしようと、スカーレットは、悩んだ。怖くて触りたくなかった。


スカーレットは、床にこぼれて落ちているコーヒーを、見てたら、スカーレットの作った化け物が、コーヒーに、指を指した。スカーレットは、「そういえば、コーヒーがかかったら、急に苦しんで、小さくなって行った」と、気づき、コーヒーを、拭いた布でお面を持つと、おじいちゃんのわからないところに隠した。


スカーレットの描いた化け物は、優しい顔にさせたくなり、いったんスケッチブックに、そのまま描き、色を塗ると乾くと、絵の中に戻った。


そして、リビングに戻ると、ため息をついて、ぐちゃぐちゃになった部屋を片付け始めた。


もう一つのお面の事は、忘れていた

そして、お面を売った骨董屋のじいさんは、「チッ」と、舌打ちをしていた。

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