第19話
少女は、目を覚ますと、キッチンに飲み物を、取りに行った。
テーブルのところで、椅子に座り、のんびり飲んでいた。
しばらくして、「あ、スケッチブックとか、忘れたんだ。」と、思い出し、母親の部屋へ入ると、そこには、おじいちゃんが、ソファに座りながら、油絵の絵を見ていた。
「おじいちゃん?」と聞くと、おじいちゃんは、涙目になりながら、一枚一枚、自分の描いた絵を見つめていた。
少女は、不思議になりながらも、おじいちゃんのそばに、寄った。
やっとおじいちゃんは、少女がいることに、気づいた。
「ああ、お前か。」と言うと、「そうだ、お前が描いたのか?この絵は?」と、スケッチブックを、見せると、そこには、何も描かれてなかった。おじいちゃんは、びっくりして、「あれ?ないぞ?あの絵は、どこへ行ったんだ?」と、スケッチブックを、ペラペラめくった。しかし、どこにも、絵は、描かれていなかった。
すると、少女は、「麦畑の絵のこと?」と、聞くと、おじいちゃんは、「やっぱり本当だったんだ」と、驚くと「ここに、麦畑を、描いたのは、お前なのか?」と、聞かれ、少女は、戸惑ったが、「うん。」と、返事を返した。
おじいちゃんは、「なら、なんで今は何もないんだろう?」と、独り言のように、言うと、少女は、「そのスケッチブックは、不思議なの。だから、あたし、大好き!お気に入りなの。だから、おじいちゃん、返して」と、言うと、おじいちゃんは、「あ、ああ、そうだな。」と、スケッチブックを、渡した。そして少女は、ペンと絵の具一式も持つと、部屋を出た。
「おじいちゃんも、あの絵の中に入ったんだ。」と、言うと、もう一回スケッチブックを、めくってみた。
そして、なんとなく、「あの絵は、おじいちゃんの描いた絵に戻ったんだ」と、思った。
少女は、おじいちゃんが、とても幸せそうな顔を久しぶりに見た気がした。嬉しくも思ったけど、なんとなくさみしくもなった。
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