第18話
おじいちゃんは、どっと疲れて、ソファに、横になった。
そして、「きっと、彼女は腹が立って、もう来てくれないだろう」と、思った。
しばらく横になっていると、少し疲れが取れて、ちょっと気分転換に、コレクションを、見ようと、娘の部屋だった部屋に入ると、そこは、辺り一面麦畑だった。
おじいちゃんは、びっくりした。
「ここは、どこだ?どうなってるんだ?」
すると、「あなたは、誰?あの子は、どこへ行ったのかしら?」と、若い女性の声がした。振り向くと、若き頃の妻にそっくりな女性が、立っていた。「アリシエ?」と、無意識に言葉が出た。
すると、女性は、驚いて、「私の名前をしってるの?あなたは、私の知り合い?」と、聞き返した。
おじいちゃんは、「本当に妻なのか?何故若い時の妻がいるんだ?これは、夢か?」
「そうだ、これは、夢だ。わしは夢を見ているんだ」と、自分にいいきかせた。すると、「ママ?その人誰?」と、声がして、振り向くと、そこには、幼かった娘がいた。「マイラ?」と、声が出ると、彼女は、「おじいちゃん、私を知っているの?」と、言った。
「ああ、夢でも嬉しい。わしは、今とても幸せな夢を見ているんだ。マイラ、わしのそばまで来てくれないか?」
「私が?ママ、行っていいの?」
すると、「私たちを知ってる人よ。信用しましょう」と、言うと、マイラは、おじいちゃんのそばまで来た。おじいちゃんは、思わず抱きしめてしまった。しかし、女の子は、びっくりしたけど、「おじいちゃん、温かいね」と、言うと、女の子は、涙が出てきた。
母親のアリシエも、驚いた。
まるで、さっきの女の子のようだわ
と、思うと、おじいちゃんは、麦畑から、消えて行った。
ハッと、気づくと、おじいちゃんは、娘の部屋にいた。
そばには、孫のスケッチブックが、落ちていた。その中には、黄金色の麦畑が、一面描いてあった。その横に、おじいちゃんが、描いた油絵の麦畑の額が、置いてあった。
おじいちゃんは、この絵を真似て描いたのか?
と、油絵と少女の絵を合わすと、そっくりだった。ただ、違うのは、油絵の絵には、妻のアリシエと、娘のマイラの姿が、描かれていた。
おじいちゃんは、不思議でならなかったが、でも、確かに、わしはマイラを、抱きしめた。まだ、こんなに、温かさが残っている。柔らかな感触が、はっきりとある、と、思うと、久しぶりに、昔描いていた絵を一つづつ出して、じっくりと、見始めた。
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