第16話

朝ごはんを、食べ終わると、おじいちゃんは、肝心なことを、思い出し、少女に、話した。

「お前は、学校に行く歳なんだが、学校は、街におりないとないんだ。

それで、もし寮と言う学校にずっといるための部屋のある学校に、行くか、聞きたいんだ」

と、言うと、少女は、「学校に行きたい。でもおじいちゃんと、離れて暮らすのは嫌だ」と、言うと、「でも、お友達がほしい」と、ポツリと言った。

少女の、最後の言葉に、おじいちゃんは、悩んだ。

両方は、無理だと思っていた。

学校の許可を得て、週に一日、通わせられないかとも、考えたが、そんな学校は、ないだろうと諦めた。

それで、おじいちゃんは、「もう一つ提案があるんだが」と、言った。「もう一つ?」と、少女が、聞くと、「家庭教師、と言うのがあってな、週に三日くらい街から、通って来ることも出来るんだ。だから、週に三回、先生に勉強を教えてもらえる」と言うと、「じゃあ、週に三回友達と会えるの?」と、少女は、喜んだ。

おじいちゃんは、いいづらそうに、「いや、来るのは、大人なんだよ。勉強を教えてくれる。歳の若い人なら、お友達にもなってくれるかも、しれないぞ」と、言うと、少女は、「ほんと?なら、カテイキョウシが、いい」と、嬉しそうに応えた。


おじいちゃんは、「本当にそれでいいんだな」と、聞くと「うん!あたし、ベンキョウしたい。」と満足気に、応えた。


おじいちゃんは、後片付けを済ますと、昨日の疲れも忘れて、また、街に行くことにした。


「じゃ、おじいちゃんは、また、街までいって来るから、留守番を、頼んだそ」と、言うと、街までおりて行った。


少女は、ワクワクしながら、そのカテイキョウシを、楽しみにした。

「どんな子が来てくれるかな?」と、おじいちゃんの説明不足で、少女は、子供が来てくれると、思っていた。

少女は、母親の部屋だった、部屋に入ると、一番奥に行き、おじいちゃんが描いた母親の絵を出して、「ママ、あたし、友達が出来るの!おじいちゃんだから、きっと優しい子が来るわ!」と、嬉しそうに話した。


「あ、そうだ。ママの絵も描こうかな?でも、そしたら、ママが、スケッチブックから、出て来ちゃうね。でも、ママに会いたいな」と、言うと、「じゃ、ママの生きていた時の世界だけでも、描きたいなー。」と、言うと、スケッチブックとかを、取りに行った。


持って来ると、少女は、絵の中から、ママが描いてある麦畑が、たくさん描いてある絵を、真似して描き出した。


色を塗り、乾かすと、気づいたら、一面麦畑だった。少女は、夢を見ているのかと思った。

「ここは、ママの部屋のはずなのに?」と、不思議に思った。麦畑を、歩いて見た。麦の穂は、黄金色で、キラキラ光ってきれいだった。

少女は、畑を歩いて歩いて、歩き回った。

しばらくして、疲れたのに気づき、あぜ道に座り込んだ。


「これが、ママがいたところだったんだ。絵のママも、可愛くて輝いて見えたなー」と、思うと、「ママに会いたいな」と、寂しくなり泣き出した。


すると、いつの間にか、後ろから「あなたは、だあれ?」と、声がした。少女は、びっくりして、振り返ると、そこには、ママが、子供の頃の絵そっくりな、少女が立っていた。

少女は、思わず「ママ?」と、声がでた。彼女は、「ママ?ママをさがしているの?」と、言うと、「ここには、私のお父さんとお母さんと、私しかいないよ」と、言うと、 「お父さん?」と、見渡すと、まだ、若かった頃のおじいちゃんらしい人が、立っていた。


少女は、「おじいちゃん?」と、言うと、女の子は、「え?私のパパよ」と言った。

少女は、ハッとして、「絵の中に、入っちゃったの?どうしよう」と、困ってしまった。


少女は、女の子に、「出れなくなっちゃった」と、また、泣き出した。


女の子は、困ってしまった。「どうしたら、泣き止むかなー?」と思うと、そこに、女の子のお父さんと、お母さんが、来た。

「迷子になっちゃったの?」と優しく聞かれると、「帰れなくなっちゃったの」と、言った。

すると、女の子は、「なんでかな?あなたとは、初めて会った気がしないの」と、言うと、女の子のお父さんも、「そうだな、私も同じ気持ちだ」と、いい、「あら、私はそんな気持ちになれないわ」と、女の子のお母さんが言った。

少女は、「じゃあ、あなたがおばあちゃんなの?」と、言うと、抱きついた。

みんな、びっくりしてしまった。

女の子のお母さんは、「迷子になって、ホームシックになっちゃったのね。」と、言うと少女を、抱きしめた。

すると、お母さんは、何故か涙が出てきた。そして、少女を、ギュっと抱きしめた。どのくらいしたろう?


少女は、いつの間にか、麦畑の中ではなく、ママの部屋に戻っていた。


少女は、とても不思議な感覚になり、「おばあちゃんに、会えたんだ。ママに会えたんだ。若いおじいちゃんにも、会えたんだ」と、とても心が、あったまった。


そして、部屋を出ると、まだ、朝で、何時間も経っていた気分なのに、時間は、ものの数分しか、絵の中にいなかった。

少女は、どっと疲れて、リビングのソファで、寝てしまった。

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