第15話
「先生?」
先生は俺を振り返って、
「朔……キミはもうお帰りなさい」
「ぇ?」
「ここは、キミのいるべき世界ではないのでしょう?」
先生は察しが良い。
そうでなけりゃ、存在不確かな半透明の俺を受け入れられりゃしない。
(先生は俺の【同種】、なのかも知れない)
そう思うと、目を覚ますには惜しい気がした。
「もうちょっと、ね? 先生と、もっと色んな話がしたいんだけど……」
「……」
先生の笑顔は寂しげだった。
「え? ……何、それ? 先生なら、幽霊とだって友達になってくれるだろっ?
俺さ、上手く言えないけど……ちゃんと生きてるんだ。ここじゃないけど、ちゃんと。
ただ、好きな時に好きな場所に行けるわけじゃないんだよ、、
ここに また度来られるのか、いつ来られるか……分からないんだよっ、
だから、こんな機会 滅多にないんだよっ、、」
生きる時代が違ったって、こうして出会えた。
だったら、友達にだってなれる。解かり合える。もっと、もっと、
「友達になれたら、きっとまた会えると思うんだ!
先生、この世界から俺を呼んで! 俺、そうしたら迷わずにここに飛んで来られるよ!」
現実からの呼びかけで目が覚めるんだ。
夢世界からの呼びかけに応じる事だって出来るだろう。
この力はきっと、先生と出会う為のものだったんだ。
俺はそう信じたいでいるのに……先生は項垂れてしまった。
「さぁ、お帰りなさい…朔、キミとはもう会えないよ……」
優しい笑顔が見えない。
先生のその哀愁が受け入れられなくて、俺は立ち上がると先生に掴みかかっていた。
「信じてよ、先生! 俺は幽霊じゃない! ホントだよっ、生きてる! 生きてるんだ!!」
「だから、尚更、会えないんだ……」
「どうして!?」
「この時間は、消失する……」
「……?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます