第11話

(俺が見えてしまう以上、ここにいるべきじゃないんだろうけど……

 そういや、俺、どうゆう状態で寝た? 思い出せない……また授業中か?

 だったら誰かしら起こしてくれんだろうけど、周りに誰もいなかったらマズイな……

 いつ起きられるかわかんねぇ、上手い事 誤魔化せねぇかな)


 夢にしたって、見えるなら見えるで動きにくい。何処にも居にくい。

目が覚めるまで人目に付かない場所に留まってたいんだけど……


「ね、ねぇ、どうして俺がここの卒業生じゃないって思うのっ?」

「簡単な事だよ。だってキミ、半透明なんだもの」

「え!?」


 俺、半透明人間なの!? 何、その中途半端な感じは!!


「ハハハハ。もしかして気づかなかったのかい? 面白い幽霊もいるんだね」

「ゅ、幽霊って、、」


 まぁ、ここは俺がフライトして来た先であって、肉体までは持ち込んでないわけだから、そんな風な見え方になってもしゃぁないんだろうけど……

って事は、今の俺は精神だの魂だのって類でいるって事なのかな?

何か、丸腰感 満載だな、、大丈夫かよ、俺、、


「お、俺が幽霊だと思って話しかけてんの? クレイジーな先生だね、、」

「キミは英語が喋れるのかい? 凄いね。何処で勉強したんだい?」

「英語って…… ―― !?」


 クレイジーは確かに外来語ですけどもさ、もぉ日本に定着してるワードだよ。でも、


(古い木造校舎、廃校……)


「ァ、アンタ! って……せ、先生! 今いつ!? 今 何処!?」

「幽霊君。英語は出来るのに現代社会は苦手なのかな?

 それとも、違う時代の幽霊なのかな?」

「ま、まぁ、そんなモンだよ! だから教えて!」

「ここはね、大日本帝国だよ。時代は、」

「だ、大日本帝国!?」


(そ、それって確か、終戦頃まで使われてた日本の呼称じゃなかったか!?

 ここはまだ日本じゃない!? やっぱり俺、だいぶ過去に飛んで来てる!)


 普段に視てた【じゃない方の夢】は、何歩か先の未来だった。

それが今回に限っては、70年以上もの時間を逆行して来たみたいで、

ちょっと、嫌な予感が纏わりついて……

タイミングによっちゃ、途轍もなく恐ろしい惨事に巻き込まれるんだって……

聞こえてくる蝉の声も、乾いた風も、俺には嵐の前の静けさでしか無い。



(勘弁しろ! 誰か、早く俺を起こしてくれ!!)



 俺が激しく狼狽えていると、先生はそれを笑った。

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