第6話

 今朝まで判ってた筈の、現実と夢の境が判らない……

それ程のリアリティー。いや、つまりこれは現実で、


「でも……」



(ここは何処だ!?)



「―― 本村もとむらさく!!」

「!?」


 体を大きく揺り動かされて、やっと目が覚めた。

完璧に呆けた俺の顔を覗き込む友達の顔が『お前、ガチでヤベぇぞ』と言ってるのが分かった。


「ハァ……マジで殴って起こそうかってトコだったぞ、お前ぇ」

「ここ、は……」

「授業終わったぞって。先生から伝言、

 私の授業はさぞつまらないようだから、明日までに資料まとめて発表しなさい、ってさ。

 ザマみろ」

「……」


 混沌と混乱。


(夢、だった……)


 いつの間に寝ちゃったんだかも分からない。

机の上にはシャープペンの芯が何本も転がってる。

でも、サッカーボールを蹴り返したのは、現実じゃなく夢だった。



 **



   ポ~ン。



 サッカーボールが風に流れて飛んで来た。


「あ! 朔~、」

「ボールな、了解」


 リフティングからのパス。何回目もやってりゃ、見事に決まりますよ。


「サンキュ!」


 友達のサッカー小僧達はコートに戻ってく。

素人サッカーのゲームメイクは目で追うまでも無いよ。

ボールがこの後 何処に飛んで、誰がシュートするか何てのは、俺にとっては知り得た過去の情報なんだから。

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