第5話

「あ! 朔~、ボール取ってくれぇ!」

「おぉ」


 リフティングからのパス。おー、見事に決まりました。俺、天才。


「サンキュ!」

「おぉ。―― あれ……?」


 友達のサッカー小僧達はコートに戻ってく。

それが何てぇか……



(何だろ、デジャブ? この光景、前にも見た事があったような?)



 周囲を見回す。こうして見やった風景の何もかもが……



(夢と同じだ……)



 素人サッカーのゲームメイクは目で追うまでもねぇよ。

ボールがこの後 何処に飛んで、誰がシュートするか何てのは、俺にとっては知り得た過去の情報なんだから。



(ここは、何処だ……?)



 何か、怖い……息苦しい……


「おい、朔。こんな所で突っ立って何やってんだよ? 次の授業、遅れるぞ?」

「ぁ、あぁ……」



(全部、知ってる……)



「あ! 朔だ~~、今度さ、またカラオケ行こうよ! ね!」

「ぁ、あぁ……」



(いつ視た夢だ……?)



「朔? どうしたよ? 具合悪いんだったら、医務室 行って来いよ?」

「ぃや……」



(待て、コレ、現実か……?)

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