第3話

 そうなんだ。俺の特異体質は、物凄く具体的な正夢を視る事。

夢の中で俺は、日常的な身近な事から遠い国の事まで、

それこそ、事故に遭ったり、起こしたり、人を殺したり、殺されたり、

そんなバイオレンスな経験を何度も繰り返している。

それが実際 何だったのかは、数日後のニュースによって知るんだけども。


「つかさぁ、幽体離脱ってお化け的なもんじゃねぇの? それって、未来に飛べるもんなの?

 何でもかんでも超常現象に絡めて解決するのはカッコ悪くねぇ?

 ニュース要らずで便利って俺の着地点じゃ駄目?」


 つまりだ。

全てにおいてコントロール不能だから、今まで通り放っとくしか無いと言う話。

苦笑する俺に、姉チャンは眉を顰める。


「別に呼び方なんか何でも良いけど、それこそ格好の問題じゃ無いでしょう?

 そんな毎晩フライトしてたんじゃ身が持たない。眠っていても疲れるって言うんだからっ、」

「まぁ…」

「何とかしなくちゃ、病気になっちゃうわ!」


 早くに両親が他界しちゃったもんだから、姉チャンは姉らしく心配性だ。

お陰で俺も、呑気な学生でいられるんだけどもさ。


(実際、寝てる内に入らん程、疲れたりするのは死活問題だよな……

 夢で死んだ時なんか、起きた時の俺の体、死後硬直してるくらい冷やかになってっし)


 そんな事まで言ったら姉チャンは卒倒するから内緒。


「姉チャンは いつも大袈裟だよな~」

「全然 大袈裟じゃないから! 朔はいつも本当の事は仕舞い込む……

 2人っきりの姉弟なんだから、気を遣わないでちょうだい! 良いねっ?」

「はいはい。分かったよ。何でも話してますって。

 でもね、姉チャンが言う程じゃないんだよ、ホントにさ。

 それに、最近は分かってきた事もあるんだから」

「え!?」


 姉チャンは箸置いて身を乗り出す。

しょうがない、俺もテレビはお預けで ちゃんと話そう。


「何てぇかぁ、夢が現実になってんのか、現実が夢になって出て来てんのか、

 その辺は良く分からんけど【普通の夢】と【じゃない方の夢】の区別は付くようになった。

 眠る前に何と無く判るんだよね」


 褒めてよ、この学習能力。


「どう判るの?」

「普通の眠りはウトウト。【じゃない方の夢】の場合は、浮遊感からの容赦なく意識が落ちる。

 眠るって言う感覚とは違うんだ。抵抗できない。だからね、嫌でも飛んでっちゃうんだ。

 まぁ、そんなわけだから、何れはこの得意技の秘密も解明されるでしょう!」


 乞うご期待。って事にしときません? 今のトコは。

物事を深刻にするのは得意じゃないんだ。

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