第2話

 大学に進学して学生療で暮らすようになってから、寝起きが悪くなった。

それは、2~3日授業を欠席して、心配してくれた寮長達が部屋に突入して起こしてくれるって、途方も無いレベルの寝起きの悪さ。

だから、姉チャンの仕事が休みの時は、一人暮らしする姉チャンちに泊まって目覚まし時計の代わりをして貰っている。


「あぁ、もう20時ぃ? また1日寝ちゃったんかぁ俺ぇ」

「ん。お昼ゴハン食べて直ぐに落ちてたよ」

「どんだけだ、俺の睡魔」


 いつもこう。折角の休みも、大学生らしく楽しめたためしがねぇの。

起きて、溜息連投して休みが終わんの。


 姉チャンはちゃぶ台に夕食の配膳を整えると正座。落ち込む俺の背を叩いて食事を促す。


「全く、困ったもんだよね。その特異体質にも」

「あぁ……いや、ごめん、、姉チャンの方がアレだよね、俺に付き合わせちゃって……」

「なに言ってんのよ?

 姉チャンは朔の姉チャンなんですから、これきしの事、ドーンと任せなさいよ」

「ハハハ、どーもね」

「さ。召し上がれ。いつも通り、パッとしない献立ですが」

「美味いよ、姉チャンのメシはさ」


 今の俺には、この手料理だけが唯一の楽しみです。

姉チャンはグラスに麦茶いれながら、思い出したように言う。


「そうだ。あのね、友達に聞いたんだけど、朔のそのぉ、体質?

 フライトしてるんじゃないか? って言うの」

「フライト? ……ああ、アレねぇ、って何それ?」


 俺の神経はメシ食う事に集中。目と耳の半分はテレビ画面。

芸人ばっか集まって わちゃわちゃトークしてんのを観るのが好きなんだ。

笑うと元気でるんだよね、体ん中の鉛みたいなのが発散されて、気分が楽になるんだよね。

やっぱ笑いって大事だわぁ。頑張れ、芸人! 俺に極上の笑いを!

って、生返事の俺に姉チャンは続ける。


「ねぇ、私の話し聞いてる?」

「聞いてるって」

「テレビの怪奇番組で特集される類の、アレ。幽体離脱。

 眠ってる間に魂が抜けて、フラフラ何処かへお出でけしちゃうんだって。

 朔の言ってた感覚と同じだなぁって」


 確かに、【眠る】と言うよりは、

フワ……っと体が浮き上がるような感じで、気づいたら知らない場所にいる。

そうゆう現象から、姉チャンは【幽体離脱】って言いたいらしいけど……


「俺ねぇ、そうゆうの比較的 信じないタイプなんだよねぇ」

「そうかも知れないけど、朔、どう考えても可笑しいわ。アナタの体質。

 夢で見た事が現実になってるし、その辺は毎日のニュースでも確認済みでしょう?」

「まぁ、ねぇ……」

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