第10話
「私、女子の中でも冴えないタイプだったでしょ?」
いや。そこそこ、結構、スゲぇ、ウゼェくらいに人気あったよ。男子から。
「そんな私に間宮君、沢山 話しかけてくれて、私、すごく嬉しかった」
小笠原は胸を押さえている。とても苦しそうだ。
「ソレなのに私、酷く、間宮君をガッカリさせたと思うの…」
「は…?」
「話したい事、沢山あったのに伝える勇気が無くて…
あ…、、子供の頃の話、今更されても解からないよね…ごめんなさい」
どうして小笠原が謝るのか、そっちの方が解からない。
「でも、本当に良かった! 私の事、覚えていてくれて ありがとう。
こうして また話す事が出来たのも、先生が引き合わせてくれた お陰なのかも…
ちゃんと、言いたい事は言っておきなさいって」
俺も、そう思っていた。
でも、信じられるだろうか、この展開。
この10年、俺は小笠原に恨まれているもんだとばかり思っていた。
だって、俺も小笠原をイジメていた奴らと同罪じゃないか。
疎ましげに顔を背けて、その所為で女子グループは一層 調子づいたってじゃないか。
俺が主犯格みたいなモンじゃねぇかー!!
自分にマジギレ。
俺は立ち止まり、小笠原を睨む勢いで見つめる。
「俺は…お前を守ってやれなかった…」
「…そんな、風に思っていたの…?」
「もっと早く気づいてればって、後悔しない日は無かった…」
「…」
その後悔が波のように押し寄せて、俺は学校を懐かしむ事が出来なかった。
苦悩するばかりで、恩師を訪ねる事が出来なかった。
雨は止まない。ソレ所か、雨粒の嵩が増したように本降りの土砂降り。
(あの時に戻りたい。
そうしたら、俺は絶対にコイツから目を反らさない。絶対に独りにしない)
「ごめん…」
(ずっと言いたかった言葉、懺悔)
謝って済む問題じゃ無い事は解かってる。自分の罪深さも。
そのクセちゃっかり結婚してるとか、兎に角 諸々…
何処かで逃げ道を探し続けた自分の狡猾さが許せそうに無い。
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