第2話
(学校に顔出してさえいりゃ、そうゆう情報も聞けたか知れねぇな…)
何故、会いに行かなかったのか…思いを巡らせていると、早見に肩を叩かれる。
「お前、記帳してないだろ? 早く行って済ませて来いよ。会場に同級が集まってるからさ」
「そうか」
「先 行ってっから」
「ああ」
同総会モドキ。
そう言えば、同窓会にも参加した事なかったな、俺。
(俺は どいつもコイツもと疎遠だったワケか。
海外出張とか多かったし、同窓会のハガキに気づくのは いつも終わってからだった。
結婚してからは良く出来たかみサンのお陰で そうゆう知らせを取り零す事は無くなって…
まぁ、だからこそ、葬儀に参列できたんだよな)
芳名カードに記入していると、隣のページに知った名前が記されている。
(
心の中で読み上げると、忽ち顔が思い出される。
長いおさげが印象的な少女。一見 明るく見せて、その半面 内向的だった。
堂々としているようでいて、決して前に出る事は無かった。
素行は正しくマジメ。でも、学校を休みがちだった。
(知っている…)
笑顔が、とても可愛かった。
(小笠原、来てるのか…)
彼女の事は驚く程 良く覚えている。会場で会えると思うと、不思議と緊張させられる。
香典を受付に預けると来賓の待合室に通され、顔を出すなり一早く気づいた早見が忙しなく手招く。
どうやら学校一の悪ガキが来た事は、同級の連中には早速 知られているようだ。
コレも早見の仕業だろう。
「間宮が来てるって言ったら、皆 スゲェ驚いてたぞ」
「そうか?」
「ああ。お前の隠れファン多かったからなぁ」
「そうなのか?」
「なーんも知らないんだなぁ、お前はぁ。クラスの女子、基本的にお前狙いだったぞ。」
「ソレ、当時 教えて貰いたかったっつの」
「お前ばっかイイ思いさせたくなかったもんでぇ。でも、今からでも遅くねんじゃねぇ?」
「遅いっつの。俺、結婚してっから」
「え!? マジで!?」
「ああ。俺、線香あげて来る」
若い頃から盛りの付いたオス猿だった俺の事だ、
クラスの女子が その気だと知ったら容赦なく手ぇ出してただろうな。
とは言え、結婚してからはサッパリだ。
子供が出来たとなれば、ソレこそ余所の女に興味も沸かない。
俺は完全に更生したんですよ、先生。スゴイだろ?
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