第二章 大胆は無知と卑劣の子であって、他の資格よりもはるかに劣る⑤
「またのお
やらかしてくれたウェイターが深々とお
(二度と来るか! ボケ!)
メグが
(ああ……なんてこった……食費を
身も心もボロボロになるホールデン。メグとティアはチンカチンカにキレていた。
「あ、あの……おぜう様方々……その……すみません……」
ことの
「はぁ……アンタがそういう
「す、すみません……」
平身低頭のままのホールデン。
「……言ってくれれば毎日私が食べさせてあげるのに」
ティアは事情を聞くとすぐにやさしい言葉をかけてくる。
しかし、いくらゲスなホールデンでも女の子に毎日ご飯を食べさせてもらうということはヒモ以外の何物でもないので、苦笑いで流す。
「ああ、もうこんな時間じゃないの! 早く会場に向かわないと間に合わないわよ!」
「……本当だ」
2人は時計を見ると、ライブ会場に向かう。
「アンタ、いつまで頭下げてんのよ。早く行かないと!」
「お、おう……」
許されたのか
ライブは第2区画にある
「とんでもない数の人だな……」
ホールデンは会場周辺の熱気を見てつぶやく。
「そうね……さすがにここまですごい人気だとは思ってなかったわね」
「……人多い。こんなに人気があるんだ」
メグとティアは人の多さに
「オウフ……もうすぐ生チェルシーちゃんに会えるので、
他の2人も同じく気持ち悪い笑みを貼り付けていた。
そいつらはホールデンが
(……先頭で待機とかどんだけ気合い入ってんだよ……うん?)
「はぁはぁ……レイラたんもうすぐ会える……」
そこで写真に
「ブライアン
「……俺っちとしたことがつい……罪な女だぜぃ……レイラたんは」
3人……いや、4人組は不気味な笑顔で笑いあっていた。
(……仕事に行ったのかと思ったらこんなところに……つか前に絡んできた3人組と
「何、立ち止まってるのよ。早く受付するわよ」
「……ホールデン、早く」
メグとティアはブライアンに気がついておらず、立ち止まっていたホールデンを
「あ、ああ……今行く……」
よくないものを見た……そう思うとホールデンは2人の元に小走りで向かった。
関係者受付、と書かれたテントにやってきた3人は受付をする。
「お忙しいところありがとうございます。来てくださって光栄です」
受付で
「この度はお
メグは
「お三方に楽しんでいただけると幸いです。よかったら終演後、楽屋に挨拶に来てください。他のメンバーもご
ノーマンとそんな話をしていると、受付の奥の方から
「テメェは何度言ったらわかンだよこのボケが!! クビだクビ!」
視線をそちらに向けると、ベイビーメイカーが所属する、バージェス・インク社長のジェフが部下を
「し、しかし……それは社長が先ほど指示されたことでして……」
「ああん? テメェ! 俺のせいにするってのかぁ?」
ジェフはその部下に
(こないだも思ったけど、俺の予想どおり部下には
3人がその様子を見ていることに気がついたノーマンは
「お見苦しいところをお見せしてすみません。なだめて参りますので、お席の方へどうぞ」
3人は別のスタッフに関係者席に案内される。ホールデンは後ろを見ると、ノーマンが何やらジェフに言い、すぐにジェフの
(ノーマンさんの言うことは
ホールデンは内心でそう思うと、視線を元に戻す。
案内された関係者席には芸能関係
関係者席はアリーナではなく2階だった。そこにはふかふかなソファーが置かれており、特別席といった感じだ。2階から下を
その
「すげーな……一体いくらかかってんだろーなこのステージ」
「すぐお金に直結させるのはあんたっぽいけど、確かにこれは少し気になるわね」
「……数千万はかかっていそう」
3人がそんな感想を言い合っていると、下の方がにわかに
その様子を見たホールデンは苦笑するしかなかった。
「どうしたの?」
「い、いや……何でもない」
しばらくすると、数万人は入れるホールがぎちぎちになる。その景観は圧巻だった。
10人ほどの女の子たちに、これほどまでに人々を呼ぶ力があるのだから
数万人の客が今か今かと開演を待っている。やがて、明かりが消える。
数秒後、色とりどりの明かりがステージを照らす。
そこには
その瞬間、ホールデン達の耳に数万人の
「みんなー! 今日は私達のライブに来てくれてありがとー!」
一歩前に出たのはチェルシーだった。
頭の先から足の先に至るまで、
チェルシーが一つ満面の笑みを客席に投げると、その方向にいた男のファンの何人かは失神している。それほどまでにチェルシーの笑顔は
その様子を見るに、昨日ホールデン達に悪態をついたのが信じられない。
「まずは1曲目!」
チェルシーがそう言うと、曲が大音量で聞こえてくる。
メンバーは曲に合わせて可愛らしいダンスを
その踊りに合わせて、ブライアンたちを先頭に
ファンたちの
「す、すげぇ……」
ホールデンはステージ、客席の
3人は時間を忘れてベイビーメイカーのステージに
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