第一章 偶像少女は夢を見させない④
今回の依頼の条件を話すために社長達は別室に移動してしまい、現状社長室にいるのはホールデン、メグ、ティア、チェルシーの4人だ。
しばらく会話がなかったので、ホールデンが
「アイドルってやっぱ儲かるの?」
気を
しかし、チェルシーは来客用に出されていた
「
時が止まった。
ホールデンはもちろんのこと、メグ、ティアまでもその場に
当然だろう。天使の笑顔から
「え、えっと……何かすげー言葉を聞いたんだけど聞き
ホールデンは自分の頭で処理が追いつかず、メグとティアに助けを求めるように視線を投げる。その段になり、ようやくメグとティアの思考が戻ってくる。
「あんたがいきなりお金の話したから
「今のはホールデンが悪い」
メグとティアは小声でホールデンをなじる。
「すみません。このバカが失礼なことを言って」
「気にしないで。ホールデンの
メグは社交的な、ティアはうっすらとした笑みを浮かべ、チェルシーに話しかけた。
すっと
「何? あんた達、この
その
「え、えっと……よく聞こえなかったわね……ねぇティアさん」
「メグ・フラワーズ……私もよく聞こえなかった……」
「ヒィィ!」
ホールデンは2人を見ると、
2人は笑顔のまま
「はぁ? この
追い
「あはは……」
「ふふふ……」
完全にぶち切れているはずなのだが、2人は
「……なぁ、アンダーハート。お前……いつも
2人が遠い世界に旅立っている間にホールデンはチェルシーに話しかける。
「話しかけるなって言ってんでしょ。カメラの前以外で話しかけていいのは年収1億以上ある男だけ。それに猫かぶってるんじゃなくて、
「な、なんて性格悪い女だ……金が
「ふん。少しはわかってるようね。
チェルシーがそう言うと、ホールデンはまるで自分を見ているかのような
「何だよ。気があうじゃねーか。俺もまさに同じようなこと思ってるよ」
「ふん。私様に話を合わせて会話を続けようなんて浅はかね。もう仕事以外で話しかけないで。どうしても話したいのなら1ワード10万ルード
ホールデンは苦笑いを浮かべる。金に
「そこのモブ2人、ずっと気持ち悪い笑い浮かべるのやめてくれない? 私様の視界に入って
ホールデンは確かに2人からブチンという禁断の音がするのが聞こえた。
「だ、
「私のが
2人はチェルシーに勢いよく
「ど、どうしたんですか? いきなり大声を出して……」
と、チェルシーは急に先ほどと同じアイドル然とした雰囲気に
「いきなり何猫かぶってるのよ!」
「……
しかし、2人の
いないのだが、
「貴様ら
底冷えするその声の主はカースティであった。
条件の話は終わったらしく、いつの間にか入ってきていた。
2人は一瞬でおとなしくなり、カースティにどやされる。
その様子を横目で見たチェルシーは、他の人に気づかれないように
それをホールデンだけが見てしまう。
(と、とんでもない女だ……あんまり
そんなことを内心で思うホールデンであった。
◆◆◆
打ち合わせの後、ホールデンはヴィンセント達に話があると言い、社長室に移動した。
「改まってどーした、ホールデンさんよぉ?」
ヴィンセントは部屋に入ると、ドカッと自分の
「少し
歯切れ悪く言うホールデン。今からするのは金の話で、なおかつ言いづらいのでさすがのホールデンでも言い
「ドハーティ、はっきりと
「俺は
プカプカと
「少し頼みがありまして……給料、今月だけでいいんで
カースティは目を細め、ホールデンを見る。頭ごなしに
「……訳を聞こうか?」
そう言われ、ホールデンは事の
「なるほど、
カースティは難しい顔になる。
「な、なんとか日払いでお願いできないでしょうか!!」
ホールデンはジャンピング土下座をカースティに向けて放つ。
「……同情的な気分にはなるが、今の現状を招いたのはお前が
「そ、そうですけど……このままだと俺の内臓がヤバイです なんとかお願いします!」
「ダメだ。一人の特例を作ると、規律が乱れる。他の方法で返済する……」
「ははは! やっぱホールデン、おもしれーな!! ウチの会社で債権回収課に
カースティの無
「社長!」
カースティがヴィンセントに詰め寄る。それをヴィンセントは片手で制する。
「まぁまぁティーちゃん、かてーこというなって。こいつに今くたばられても困るだろ?」
「それは……」
ヴィンセントにそう言われたカースティは
「奴らのしつこさといったらないぞ。たとえこの国がクーデターで
「……やけに
「そりゃーそーだ。何せ俺も
ヴィンセントは新しい煙草に火をつけると、昔を思い出したのかカラカラと笑う。
「え、そうなんすか」
「おう。あの時はえれー
ヴィンセントが言っている事がホールデンに痛いほどわかる。
「どうやって
紫煙をプカプカと輪っか状に
「逃げてねーよ。お前と同じで、給料を日払いに変えてくれって土下座しに行って、毎日死に物
ヴィンセントの言葉は経験者だけあって非常に重みがあった。
「な、なるほど……」
「まっ、なるべくインセンティブが高い依頼を回してやっから死に物狂いで働けよ!」
「はい!
ひとまず、毎日収入を確保したので
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