第六章 世界は割れ響く耳鳴りの様だ⑪
「そう……だったのね」
「スキルのせいではあるけど、フラワーズを傷つけてしまった……本当に申し訳ない」
「よかった……」
ぽつりとメグはつぶやいた。
「あれがホールデンの真意じゃないってわかって」
「あれ……そういえばお前、俺のこと名前で呼んでたっけ?」
ホールデンは思い出す。サリーがホールデンの腹部を
そう
「べ、別に、どう呼ぼうが私の勝手でしょ」
「まぁお前がいいなら、俺は一向にかまわねーけど」
若干のこそばゆさは感じるが、こんな美少女にファーストネームで呼ばれるのは悪い気なんてしない。
「だ、だからアンタも私をどう呼ぼうが自由ってことよ」
自由と言っておきながら、『お前も私をファーストネームで呼びなさい』という
「はぁ……仮にも一国の姫様だろ? 俺みたいな奴にファーストネームを呼ばせるのはどうかと思うぞ」
メグは目に見えて失望する。
「けど、まぁ……姫としてではなく、友達だったらありだよな……メグ?」
ホールデンは照れを
それを聞いたメグは満開の笑顔を
不意に見せたメグのその笑顔はホールデンの心音を高鳴らせるのに
(ま、まずい……これは……)
そう思った
「……美しい。生きてきた中で今の笑顔より美しいものは見たことが無い。世界一美しい
(やっぱりかあああああああああああ!)
メグは大きな瞳をゆらし、
「ありがと。
「ああ。この瞬間を切り取りたい。そして願わくば僕だけのモノにしたい……」
ホールデンジゴロVer.はそう言うと、流れるような仕草でメグの背中に手を回した。
(おいおいおいおいおいおいおいおい! これはまさか!)
内面に追いやられたホールデンの想像通り、静かにメグの
(はいっ、終わったぁ!
しかし、想像していた
そっと頰から
「………………………………………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………………」
辺りは騒がしいのに、2人のまわりだけに
(あれれれれれれれれれれれれれれ! なんなのこの雰囲気ぃぃ!)
「そ、その……ほ、ホールデンはさ……」
その静寂を破り、メグが何かを言おうとしたその
「
人ならざる
「た、大変だ! 国王様がまたご乱心されたぞ!」
【
ノアはホールデンがメグにキスをした瞬間、代名詞? とでもいう
さらにタイミング悪く、ホールデンは《
「またこんなタイミングかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「い、いや、あの、その、べ、別にしたくてしたわけじゃないんでええええええ!」
そう
「したくてしたわけじゃない……?」
その
「まままままままままて……待ってくれ……話せば……話せばわかる……」
ゴゴゴっという効果音が聞こえてきそうである。
予想に反してその表情は美少女にうってつけな笑顔であった。
(あれ……話聞いてくれる……のか?)
そう思いかけたが、近づくにつれメグのその笑顔は笑顔でないことに気がつく。ホールデンは
ホールデンは、なんとか
「……ここにサインして。今回の功績で正式にお父様から許可が下りたの。いつでも式挙げられるから」
「お、お前って奴はどうしてこの
その言葉にティアは気を悪くしたのか、大声で叫ぶ。
「ホールデン嫌! いくらテーブルの下で見えないからって、こんな所でするのは嫌!」
「バ、バかやろう! なんてことを言うんだ!!!」
ホールデンは悲鳴のように叫ぶ。実際、本気でそんなことをしようものならティアは
「あ、アンタ一体そんなところでナニをしようとしているの!」
「
「こ、このままじゃまずいっ!」
ホールデンは逃げ回りながら、
どこからともなく陽気な音楽が流れてくる。
そう。ホールデンが詠唱したスキルは《
強制的にこの会場にいる全員に有無を言わせず、妙な
「アウッ!」
ノアも。
「フォォォォォ!」
ジャニスも。
「フォウッ!」
ヴィンセントも。
「イヤアスッ!」
カースティも。
「イッッッッハァァ!」
酒場の
「ポウポウポウ!」
ティアも。
「パウッ!」
メグも。
場内は
ホールデンは踊りながら、
「
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