第六章 世界は割れ響く耳鳴りの様だ⑩
あらかた
ティアと別れ、部屋に戻るホールデン。
「ヒャッハ────────────! 100億ゲットだぜえええええええええ!」
喜びを
ノア・フラワーズから
鼻歌交じりで
城に着くと、まるでVIP
ヴィンセント、カースティ、メリーといったいつものラロケット・インクのメンバーをはじめ、36・5キッチンの面々が集まっていた。
その部屋の奥には王と王妃が
皆に
「……ドハーティ、お前には感謝しても仕切れない」
「いえ、同じ職場の仲間というのはもちろんですが、
ホールデンは100億を手にするために、
「見上げた男だ。中々こういった若者はいない。
王妃も柔らかい
会場にいた皆から
「
深々と返礼をするホールデン。
「それでは、今日は大いに食べて、飲んで、楽しんでいってくれ」
ノアは
皆が思い思いにそのパーティを楽しんでいる中、ホールデンはノアに近づく。
「あの……
ホールデンはへりくだりながら
「うむ。そうだな。
ノアは
「よし、確かに振り込んだぞ。
(っしゃあああああ!)
こんなにも
[残高《マイナス》100億ルード]
「うん?」
何度も目をこすり、見返す。しかしそこに書かれている文字が変化するわけではなかった。
「あれ、なんか入金されていないみたいなんですが……」
「そんなはずはないぞ。確かに振り込んだ」
ノアはそう言うと、自分の
そこには確かにノア・フラワーズからホールデン・ドハーティへ100億ルードの振り込み証明が記載されている。
「ど、どういうこと……なんだ……」
ここにきて初めてホールデンは
「私から説明しよう」
「……な、何か知ってるんですか!?」
カースティは眼鏡をくいっと直すと、絶望すら
「結論から言うと、お前の借金は返済できていない」
「へっ……またまた~ご
「……私が冗談の
カースティの厳然たる
「何でだって顔をしているな。借金が減らない理由は、少し考えればわかるはずだろ」
「ど、どういうことですか……」
衝撃が大き過ぎてまともな思考ができない。
「そんなもの単純だ。新しく借金ができたからに決まっているだろう」
「はい?」
「お前、ガヌーブの街に何をした?」
「……あっ」
そこで思い至る。自分が《
「心当たりがあるみたいで何よりだ。今から明細を読み上げるからちゃんと聞いておけ」
カースティは
「洋館が
もはや、最後の方は何を言っているのかすら耳に入ってこない。カースティはホールデンの様子を見て同情したが、特にしてやれる事もかけるべき言葉も持ち合わせていないので、その場から静かに
そんなやり取りを見ていたラロケット・インクのメンバーや、36・5キッチンの面々が、ホールデンを元気づけるために大量の酒や食べ物を持って来た。
「もっと酒持ってきやがれってんだ!」
「新しい酒ダァァアア!」
「うおおおおおおおお!」
そんな
「ねぇ? ちょっと……いいかな?」
ホールデンは周りの
「いっててて……あいつら急に落とすなよな」
ホールデンはしたたかに打ちつけた
「……
メグの姿はいわゆるお姫様の格好であった。いつもと雰囲気が
「お、おう。大丈夫だけど……何が目的だ?」
メグが素直に心配するなんて何か裏があるに違いないと、ホールデンは
「何も目的なんてないわ。お礼と、聞きたいことがあるの」
「礼なんて別にいいって。それよりも聞きたいことってなんだよ?」
「私を助けに来てくれた時、『ちゃんと説明させてくれ』って言ったの覚えてる?」
ホールデンは思考を
「ああ、覚えてる。ちゃんと聞いてくれるのか?」
コクンと小さくうなずくメグを見たホールデンは、強制的に酔いを押さえ込み、真面目なトーンで話し始める。《
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