第六章 世界は割れ響く耳鳴りの様だ③
異様な街だった。
ホールデン、サリー、ティアは第10区画のガヌーブに
時刻は
街は静かだった。時間を考えれば静かなのは当然である。だが、静か過ぎるのだ。街からは何の音も気配も光も感じられない。夜静かなのは基本的にいい事である。しかし、行き過ぎた
その気配というものが一切感じ取れなかった。
街というものは人間が住み、営んで『街』たりえるのだ。それがない街はなんと
ホールデン達は《
点が指し示す場所は大きな洋館だ。その洋館にも明かりはなかった。
3人は手分けしてその洋館の周辺を
「特に何も変わったところはないね」
「ああ。こっちも特に
ホールデンとサリーが合流すると報告をした。
「それにしてもこの街なんなんだろうな……」
「そうだね。
「この洋館も窓から中を
「……この
「まあ、そうなるよな」
「……2人ともこっちにきて」
ティアの呼ぶ声が聞こえて来た。そちらの方角へ向かう。洋館の左横にティアはいた。
「ここを見て」
ティアが指し示した場所は地下に続く階段で、階下からわずかに光が
「……行くか」
ホールデンがそう言うと2人は
階段を降りきると、ドアノブに手をかけた。どうやら
3人は物置部屋の奥にある扉を開く。そこは
いつ敵がでてきてもいいように
「何だよ……これ……」
ホールデンは扉の先の異様な光景に息を飲む。
ダンスーホールには数百人の仮面を被った人達が正装をして
「……ホールデン、中はどうなってるの?」
ティアがホールデンの
「……かなりの人数がいる。何をやっているのかは全くわからないけど」
ティアとサリーは
「なんなんだろうね……この集まりは」
「参加者が全員男っていうのが何か不気味だな」
すると、部屋の一段高くなった
「
深々と頭を下げるその人物は……
「……リチャード・ケリー」
ホールデンは苦々しくつぶやく。
「それでは、深い時間なので
リチャードがそう言うと、舞台袖より
「おらっ! 早く歩け!」
鎖を強く引くと、その鎖に
総勢12名。全て容姿に
全員が姿を見せると、参加者である男達は舞台まで一斉に移動する。女の子達に向ける視線の奥にある情感は
「さぁ皆様、お目当ての商品が決まりましたか? 早速
リチャードが視線で部下に合図すると、1人の女の子を
「さぁ、最初はこの子です。名前はアリア・ラニスター14歳! ご存知の方も多いかもしれませんが、ラニスター・インクの創設者であるヴァリス・ラニスターの1人
すると
「5億2千!」
「5億6千!」
「5億9千!」
値段を叫ぶ男達の
ここは人間を売買する『
「はい、6億7000万ルード以上はいませんね? それでは29番の方が落札とさせて頂きます。それでは商品のご
29番の男は身長が低く、その割に体重は非常にある体型をしていた。
「た、助けて下さい……お願いします……」
か細い声でアリアは助けを
ホールデンは頭に血が上り、ホールに飛び込もうとした。だが、サリーとティアに止められてしまう。
「今出て行っても勝ち目はないよ。あの人数じゃ多勢に無勢だ。向こうの勢力も
「くそっ……」
ホールデンは地面を
この世が善人ばかりで世界が
「はぁはぁはぁ……」
29番の小太りの男は
「はい、29番様。その続きはこちらの商品をお届けした後にして下さいね。それではお
リチャードがそういうと29番の男は
「……確かに。ありがとうございます。それでは
29番の男はリチャードに
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