第四章 Time For Heroes⑤
(ああ? 一体どういうこったぁ。全部、俺と
リチャードは構えながら目の前にいる【遊び人】が不気味に見える。今の打ち合い、お互いにただの1打も有効打がなかった。リチャードの秘孔はすでに起動しており、1打でも入ればホールデンは再起不能なダメージを負う事になる。
「お得意の
「テメェ……次の
「気が合うな。俺もそのつもりだ」
2人の拳と拳が激しくぶつかり合う。お互いの拳が
「何か気づいたみたいだな。だが……これで
連打中にもかかわらずホールデンはスキル名を唱えた。
《
拳が青白い
「ば、馬鹿な……それは、そ、そのスキルは……俺の!」
リチャードの
リチャードはすぐさま回避行動に移るが──
「
ホールデンは
「ぐぉ!」
そこからは流れる様に
リチャードはうめき声すら出せず、やられるままであった。《
《
「……お前自身が
言葉を発した瞬間、ホールデンはスキルの副作用で体力が
「
そんな事を思っていると、動ける暗渠の宿のメンバーは一目散に
「ホールデン君
サリーは逃げたメンバーを追わずに、ホールデンに
「あ、ああ……なんとか」
「それにしても今のスキルは一体何……?」
ホールデンは息を整えるので一杯だったので、返答の変わりに己の
「こ、これは……」
通常スキル 《
効果 対象者の
発動条件
サリーはそこに
「アレを喰らってまだ動けるのか……」
「……《
「任せて! あれだけ深手を負っているなら僕でもなんとかなる!」
ホールデンは呼び止めようとしたが、サリーは追って行ってしまった。
しばらくすると
◆◆◆
意識は
「……君のおかげで助かったよ。ちゃんと起きている時に言うのが
その声は一体
そうして再びホールデンは
──どれくらい眠っていたのだろうか。ホールデンが目を覚ますとそこは
「いっつつつ……」
とはいうものの、体のダメージが全て無くなるわけではない。
なんとか体を起こす。すると、ホールデンの
静かに足を引き
「ううん……」
お互いの顔が10センチの位置に来た時に
元々静かだったのだが、世界中のあらゆる音という音が消失したかのようだった。
まだ半覚醒なのか、目をシパシパさせている。
「や、やは……静かな夜ダネ……月が
と、意味不明な事をお互いの
「な、な、な、な、ナニしようとしてんのよ! この遊び人!!!!」
「いってぇな!
「……そもそもあんなに顔近づけてきたのはアンタでしょ。一体なんで顔近づけたのよ?」
「い、いやぁ……」
ホールデンは
「その、まぁ、なんというか……寝顔が可愛くなくもないかなって……」
「はぁ、何言ってるの? シンプルに気持ち悪いんだけど」
「ぐっ……」
ホールデンは顔を引きつらせた。確かに寝顔がかわいいなんていう理由で好きでもない男に近づかれたら気持ち悪いと言われて当然だ。セクハラだと言われてまた
「……ったの?」
「えっ?」
メグはいつの間にかホールデンの方に向き何かを言っていた。その顔はほんのりと紅潮し、ギュッと
「だから! 私の寝顔……アンタは見とれるくらいかわいかったの?」
ホールデンはその問いに面喰らう。
「ま、まぁ……かわいくなくもない……的な……」
自分で言っておいてなんだが、ホールデンは
「そ、そう。アンタに言われても全然、
「……じゃあ言わせんなよ」
しかしそう言っているメグだが、金色の
なんにせよこの
「……で、フラワーズは何でこんな時間まで残ってるんだ?」
「えっ? ああ……それは……ええっとね……」
メグはモゴモゴと言い
「そんな変な質問だったか?」
「あぁっ、もうっ! うるさいわね!」
ボカン、とホールデンの頭をしたたかに打ち抜いた。
「ってぇ!! 怪我人になんて事するんだよ!」
「……がと」
ホールデンが何か
「おいおい、メグ
しかし耳のいいホールデンは礼を言っているのがなんとなく聞こえてしまったために、メグにわざとらしく強い口調で言う。
「くっ……あ、あり……」
ホールデンは散々
「さぁさぁ、早くその次を言いたまへよ!」
するとメグはポカンと再度ホールデンの頭をしたたかに打ち抜いた。
「痛ってぇな! だから怪我人なんだから
「うるさい! それだけ元気があれば
メグはそのホールデンの様子を見て
「それじゃあ、私はここで失礼するわ」
「なぁフラワーズ、こんな遅い時間だから
ホールデンの提案に
「夜も遅いし、この時間【遊び人】の1人歩きは危ないから一緒に帰ってあげるわ」
「いや、それ本来俺のセリフだよな……」
ホールデンはベッドから出ると、
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