第一章 Despair Came Knocking⑤
「第1位 ホールデン・ドハーティ」
名を呼ばれた瞬間、それまで騒がしかった場が
ミネルバの羽根ペンが栄光の1ページを刻んで行く。
長官の手がゆっくりと止まる。
その瞬間ホールデンの体はまるで
(な、なんだ……いきなり体が
「こ、これは……!」
すると、長官はその顕現した
「皆様……固有職が顕現されました」
固有職、その言葉で場内は
それを聞いた瞬間、ホールデンは己の体に起こった体の異常など頭の外においやった。
(こ、固有職だと! まじかよ! 俺やりやがったぜぇぇぇぇぇぇぇ!)
続けて長官は
「更に《
混乱した場内が更に
先程の【魔術剣士】、【勇者】、【裁判官】も
「ご存知の通り、《
ホールデンは先程から静かに長官の話に耳を
「そして
(だいぶ
ここにきて笑顔がこぼれそうになる。
そして遂に
ステータス 力 9 防 19 速 21
恒常スキル 《
効果 対象者は成長速度、スキル面にて
通常スキル 《
効果 トーク力が
発動条件
詠唱文[この世の
場内は先程とは全く違う意味でざわついた。ステータスが見る
そして一番の疑問は発現した【遊び人】であった。就職率100%を達成しているこのルードワルドにおいて【遊び人】というのはありえない話だったからだ。そもそも【遊び人】というのは
「ば、ばきゃな……にゃ、にゃん……だ……これ……」
ホールデンはカミカミになるほど絶句した。それもそうだろう。このスキルが本当であるならば、
会場にいる
「な、何かの間違いだ! きっとこの【遊び人】には
そういうと、長官から己の
「そ、それでは、これより
プルプル
「なんなんだよこの《
「き、君! こ、こんな所で呪文を詠唱するなん……」
長官は
光が収まってから動かないホールデンを心配した長官が声をかけた。その瞬間、ホールデンは
会場は皆スキルを発動したホールデンの動向に注目していた。
すると
「やあ、僕の
(な、なんだこれは……。体と口が勝手に動きやがる)
そんなホールデンの内面の混乱などお構いなしに口と体は勝手に動いてゆく。
「ああなんて素晴らしいんだ! ここにいる全ての女性と今日ボクは出会う事ができた。
(や、やめろ。何が『素敵な悪戯だよね』だ!)
内面で
「なぁボクのキミ達。こうは思わないかい? 運命なんて
(なに言ってんの俺! 全く言っている意味がわからんわ!!)
そんなホールデンの内心とは裏腹にぞくぞくと黒歴史を量産していく。
「ああ……それにしても素晴らしい。ここにいる全ての女性がボクのオヨメさん候補になるんだから。こんな素敵な事って無いだろう? そうは思わないかい? きみぃ?」
手を
「……キミよかったらいい病院を
バチィィィン! と、長官に向けて指を鳴らし、皆の方に向き直る。
「彼も僕たちの事を大いに祝福してくれるみたいだよ」
(
先程長官が言っていた病院に
そこでホールデンの視線がメグの所で止まった。
「
ホールデンは
「……な、なんですか?」
メグは急に話しかけられ、
「ボクの
「……えっと
ニコリと全ての者が
「ふふふっ……そんなつれない子猫ちゃんも素敵さ」
(子猫ちゃん? さっき女神様っていってなかったか。ホント無茶苦茶だな!)
「……聞こえませんでしたか? 今、
再度席に戻れと警告するメグの視線と声は先ほどより険しくなる。しかしそんなメグのあごをホールデンは色気のある動きでクイっと持ち上げる。
(お、おい……まさか……)
「あはは。そんなつれない
その場の時は確かに止まった。
先ほどまであれだけ
なぜかって? ホールデンがメグにキスをしてしまったからだ。
初めてのキスは
しかしホールデンはそう感じなかった。
《
場内にいる全ての人間がざわめいた。それはそうだろう。一国の姫にいきなりキスをしてしまったのだから。
「ふぅ……これで僕の気持ちも体も君だけのモノになれたのかな?」
(オワッタ……もういっそ殺してくれ)
メグはあらゆる負の感情よりも深い悲しみを
(あれ……?)
意識が
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