第一章 Despair Came Knocking③
春の太陽が相も変わらず
ルードワルドに住まう15歳になる者達は、それぞれの国にある職業庁が管理するミネルバの大聖堂にて最初の
最初の
ホールデンはいつもより早く起き、第10区画を後にした。足取りは自然と軽い。それもそうだろう。この日の為に学生生活の全てを
ホールデンはというと、これから自分が与えられる
(今日は俺がテッペンを目指す記念すべき最初の日になる。
そんな事を考えながら進んでいると、いつの間にか大聖堂に
(さぁ、いよいよだ!)
大きな期待を胸に栄光になるだろう1歩を
中に入ると
席は自由だったので、ホールデンは中程の中央よりの
自分が与えられる
「あれ? ホールデン君じゃないか」
ホールデンは
「なんだ、サリーか……」
「久しぶりじゃないか! ……ってそんなあからさまに興味がない顔をしないでくれよ」
「久しぶりってほど久しぶりじゃないだろ。
サリーと呼ばれた少年は甘い
「2週間しかじゃなくて、2週間もじゃないか」
ホールデンはこの意識の差は一生
サリー・バーンズはホールデンと同じ
「……俺は今
「忙しいって、何もしている様子がないけどなぁ。その前に、何か用がなかったらしゃべりかけちゃ
「相変わらずスカした笑顔全開で苦手だ。お前の事」
「ははは。君も相変わらずはっきりとモノを言うねホールデン君。僕は君のそういう所好きだけどね」
サリーはホールデンのはっきりとした物言いにも顔色を変えず爽やかに対応する。
「君ほどの人なら色々な
「まぁな。そういうお前はどうなんだ?」
「僕は入りたい
「まじで?
すぐに金の話に持っていくあたりホールデンの金への
「ははは。金額は自分
「ソレハヨカッタナ」
ホールデンはサリーの優等生然とした回答に
「ははは、そこまで興味が無さそうにされるとこっちも気持ちがいいよ」
「けど、まぁラロケット・インクなら
ホールデンがそう言うのは、ラロケット・インクは
当然の事だがそれぞれの
ホールデンがサリーの年収を
「……今日こそはここにサインしてもらう」
その紙を見ると『
「げっ! ティア!」
「……ホールデン久しぶり。久しぶりなのにその態度はひどい。私の心は深く傷ついた。今の
ティアはホールデンの横に座る。ホールデンの
「久しぶりって、昨日会っただろ!」
「……時間も会っていない。だから久しぶり」
「お前はお前で時間の感覚がイカレてるんだよ!」
ホールデンはサリーとティアの感覚に
「……早くこの氏名
「だから俺は記入しないって何度も言ってンだろうが!」
そんな不毛なやり取りをしていると横合いから草原に
「卒業しても相変わらず君達は仲がいいなぁ」
そんな少し前の学校生活と何も変わらない場面を再現していると、大聖堂の入り口付近が
「──お、おい! あの方は……」
「──まじぱねぇ……」
「──あの顔にあのスタイルとか……神はつくづく不平等ってヤツが好きと見えるな」
様々な言葉をひそひそと話しているが、そのどれもが
クートヴァス王国第57代目国王ノア・フラワーズの
ルベライト色の大きな
ホールデン達の横を通り過ぎて、一番前の中央に静かに着席した。
「ただ歩いているだけなのに、えらくド派手な登場に見えるな」
「そうだね。お
くいっくいっとホールデンの
「……早くここにサインして」
「いやいや、おかしいだろこの流れでそれは!」
「……おかしくない。おかしいのはサインをしないホールデンの方」
ティアは本気でそう言っているようであった。
「はぁ。そんな調子だからお前友達いないんだぞ。少しは空気ってやつを読んでくれよ」
「……友達? それって必要なの?」
強がりでも、
「……それに
「ぐうっ……はっきり言ってくれるな……」
「……友達が
「金で友達を買うってどんだけ俺
「……欲しくないの?」
「なぁサリー、助けてくれよ……こいつ本気で言ってるよ」
ホールデンは深くため息を
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