第一章 Despair Came Knocking②
ティアがこうなっているのには理由があった。
ティアのステータス値は今期ホールデンに次いで第2位。おまけにクートヴァス
ティアは
それは、優秀な子孫を残す事。ヒューイット・インクは200年連続序列2位。別の言い方をすれば万年2位。そんなヒューイット家の悲願は序列1位に
「お前の人生お前のモンなんだから、好きな
「……ホールデンは自分の事を好きだったら結婚してくれるの?」
「い、いや、それはさぁ、なんて言うか……お
「……じゃあ私はホールデンが好き。これでいいでしょ?」
「『じゃあ好き』ってなんだよ! 全然気持ち入ってねーだろうが!」
「……結婚に気持ちは
あたかもそれがこの世の真理であるかの様に自信満々に語るティア。
「……それに私はお金持ち。私と結婚すれば私の家の資産が共有になる。おまけに私自身を好きにできるよ。それって最高だと思うけど」
必要以上に自分の胸を強調して言う。確かに、ティアは金持ちってだけではなく、相当な美少女で胸も大きい。男が望む条件がかなり
「はぁ……あのな、金は
ティアと結婚すれば
「……理解できない」
ホールデンは大きくため息を1つ
「それに、俺は
「……怒る? それも全くわからない。なぜ、私のこと怒ってるの?」
「正気かお前!? 卒業式であんな事しておいて
「……卒業式? 何かあった?」
「お前……マジで言ってるのかよ……卒業式で俺のパンツ……」
ティアは本気で心当たりがないといった様子だ。ホールデンが怒るのも無理はない。卒業生筆頭として全生徒の前で
「私がホールデンのパンツを下げてしまった事ね。今となっては良い思い出。そんな青春の1ページを提供したのだからお礼を言って欲しいくらい」
ティアは
「どうやったらその思考に帰結できるのか不思議でならないわ!」
「……そんな事で怒る様な
「話がかみ合ってなさ過ぎるだろう!? 色々と!」
うんざりした様にため息を吐くと、ティアを無視しメールチェックを続ける。
「おっ!! まじかよ!」
とあるメールの件名を見たホールデンの
『年収3億!』
「喜んで、この
「……ホールデン、この内容って」
ティアのその言葉は、テンションが上がったホールデンの耳には届いていなかった。
『本文 私の年収は3億ルードです。仕事一筋に生きて来て気がつけば早39歳。
「ざっっっけんな!!!
ホールデンは喜色満面から
「……ホールデン、おっちょこちょい。だから賢が低いんだと思う」
「っだぁ!! 余計な
そう言うと、ホールデンはティアを入り口まで追いやる。ティアが無表情で
「やん……ホールデン、強引なのが好きなの?」
「無表情でなんて事言ってんだお前は!」
ホールデンはポイッとティアを外に追い出すと、鍵とチェーンをかけた。そしてソファーまで
「ハァ……どっと
その『純真な思い』とは『一番金を出す
ホールデンは毎日勉強を必死にがんばって順位を
同年代が朝、
同年代が学校の授業中に寝ている時は一言一句聞き
同年代が楽しく休みの日に集まり遊んでいる時は、朝から晩まで頭と体を
このようにしてホールデンは
「俺には金がいるんだ……」
その声は
「フィービー……待っていてくれ」
その声は
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