第28話 サイド母様達
「ところで母様は何をしていたの?」
彼女たちの周囲では、百足達が交配に勤しんでいた。
「うん?あ~、自分で生命創造するのが面倒になってね。生殖機能を持つ子を作って数を増やしてもらっているのよ。」
「ふ~ん。」
母様・・・、なんで百足なんかを先に作るのよ!
彼は百足に嫉妬しつつも、何でもないと言わんばかりに声を出すが、彼女には筒抜けだった。
あらあら、嫉妬してるのね・・・。かわいいわ~。
「ハイハイ、これからディプテラも作りますから待っててね。」
しかし、彼女は気づいていてもそれについて言葉には出さず、ディプテラの生殖機能を持った個体を生み出す。
そんな最中遠くの方からカサカサと音が聞こえてくる。
「げっ、なんであいつが来てるの・・・。」
ディプテラを追いかけて来ていたペスモルトゥムが追い付いてきた。
彼は彼女達に近づいてきて、興奮しているような素振りを見せてきた。
「あんた・・・、もしかして念話のスキル獲得してないんじゃない?」
あっ、っと言ったよう素振りを見せるペスモルトゥム。
「はあー、あんたバカでしょ。それじゃ、私たちからの念は届いても、逆が出来ないじゃない。これだから地上を這いずっているやつは・・・。」
「子供同士でケンカしない。」
しゅんっとするディプテラとペスモルトゥムだが、ディプテラはすぐに気を取り直し念を送る。
「はい、母様ごめんなさい。」
「あなたも私たちと一緒に行動する?」
ガクンガクンとその長い体を使い肯定の意を示すペスモルトゥム。
「そう、ならここだとこの子たちの邪魔になるから、少し移動してレベル上げをしましょうか。」
「えー、こいつも一緒にいくの?」
「もう、そんなこと言わないの。」
嫉妬深いディプテラは、母様と二人きりになれる機会を逃したと思い、不満を口にするが、それは彼女に窘められてしまう。
「だって~、ずっとは無理でも二人きりで行動できると思った矢先にこれじゃ~。」
「私は数が多い方が楽しいともうわよ」
「母様がそういうなら。」
渋々といった様子で、ペスモルトゥムの同行を容認するディプテラ。
この間ペスモルトゥムは、二人が念話で会話をするたび、念を発する相手に視線を飛ばし、全身を使って置いていかないでアピールをし続けた。
「じゃ、行きましょう。」
「やっといったな。」
「ええ、行きましたね。」
そこに残された二組の番の内、ディプテラの番の方が念を溢す。
この二組にはレベル上げ用の畑がそれぞれ用意されている。
ディプテラの方の畑の見た目は、腐敗した肉のような塊が。
ペスモルトゥムの畑の見た目は、ディプテラの死骸だ。
これらの見た目は、今後彼女が種族を増やすことによって、バリエーションが増えて行く。
二組の番は母様から与えられた役割を熟すことや、交配等で多幸感をその身に感じながら、種族繁栄の為に子を生み続けていく。
※※※
先ほどの場所から1㎞程離れた平原に彼女達は移動した。
「さて、この辺りでいいでしょう。」
「母様、ここでレベル上げですねっ。」
「ええそうよ、私が2体に畑を作ってあげるから、それを使ってレベルを上げてね。管理は自分でやるように。」
「はい、母様!」
ガクンガクンと頷くペスモルトゥム。
「あんたはさっさと念話を憶えなさいよ。」
ガクンガクン。
彼女は2体それぞれに一つずつ眷属創造のスキルを用いて、レベル1の畑を創り出す。
「じゃ、後は自分で頑張ってね。私は私で新しい種族を創造してるからね。」
「はい、母様。力を付けて母様の役に立てるように努力しますっ。」
ガクンガクン。
彼女は子供2体に声を掛けつつ、少しだけ距離を開けたところに陣取り、新たな種族創造の構想を練り始めた。
子供たちは、畑からもたらされる経験値を使用しレベルアップに励むのであった。
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