第22話

「魔法システムは私が与えた権限や権能が無ければ扱えない、いわばボーナス的な位置づけの物。これからテストしてもらう魔術システムが、一般的に使用できるシステムになる。」


 魔術システム、魔法システムの下位に存在するシステムで、魔法のように意志と対象になる物があれば結果を起こせるものではない。

 魔術の行使には最低でも、MPの使用と発動するための動作が必ず必要になってくる。

 今回儘が用意した魔術は構成魔術。

 この構成魔術は、魔術システムで用意した構成にMPを流すことによって発動動作とし、魔術の行使が可能になる物である。


※※※


――― 


範囲の構成・熱上昇の構成・位置指定の構成・発動の構成へのMP供給確認しました。


―――


 彼女の魔核・・・マナスから2㎝程のところに、20㎣の熱源が20℃で現れた。

「うん、すごく面倒ですね。」

「君の場合は、権能を使用した魔法の行使を先に知ってるからね。魔術行使は面倒に思えるんだろう。」

(それに距離が近いというか、私の体の中に熱源がかぶって発生していますよ・・・。)


 範囲の構成にMP20を注ぐと、注いだMPが他の構成から影響を受ける塊となる。これに熱上昇の構成を掛け合わせ、MP20をさらに注ぐことで20℃熱源を発動できる準備が出来る。

 さらに、位置指定の構成にMPを20注ぎ込み体の中心から2㎝以内の位置を指定出来るようにしてから位置を指定し、発動の構成にMP6を流せば先ほどの魔術の行使が可能になる。


「この程度の力の行使で、MP消費が66ですよ・・・。今の私のMPが99ですから、これを一回使っただけで、同じ規模の魔術行使をする為にどれだけの時間待たなければならないのか。」

「そこは、レベルを上げてください。としか言えないなー。」

「これって、魔術レベルを上げる存在が出てくるか疑問になるレベルですよ。」

「最初こそ大変だけど、MP量が増えればそれだけ出来ることも増えるし、それに、オドだけじゃなく魔核からのMP供給やマナの使用もできるからね。」

「それも、スキルで管理するんでしょうに。大変なことには変わりはないでしょ。」

「MPの消費だけで熱源が生まれるんだから、MP消費量についてはどうしても下げられないんだよ。」

「う~ん、結果を得るために必要な消費だというのは理解しましたけどね。」

「まだ不服か?君の場合魔法使えばいいじゃないか。」

「私はそれでいいですけどね。私以外の方の苦労が・・・。」

「苦労してもらって、魔法行使できる権限を与えるだけの存在になって欲しい訳だよ、私は。」

 このような問答をしている間に、彼女が生み出していた熱源は霧散していっている。熱源が完全になくなるまでに掛った時間は20秒である。

「それにMPの総量は今後レベルを上げれば増えて行くから、そこまで気にするほどでもないと思うよ。」

 彼女と儘の間で多少の議論の紛糾がありはしたが、魔術師システムは儘の予定通り組み込まれることになった。

 それとスキルシステムのスキル分類もこの後行われ、

 パッシブ・成長・生活・移動・眷属・魔術スキルに分類された。


※※※


「う~~ん、やっと解放されましたね。」

「お疲れ様です、母様。」

「とはいえです・・・。これからやらなくちゃいけないことがいっぱい出来ちゃいましたね。」

「そうですね、いきなり呼び出されて、生命の母になれとか、システムのテストをやれとか、色々言われました・・・。」

「ふふ、私1スライムだけでは大変ですからね、付き合ってもらいますよ。」

「はい、もちろん!」

 こうして彼女とマナスの長い長い旅路は本格的に始まるのであった。

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