第21話
さて母の権能を使って何を生み出しましょうか・・・。
権能・・・、上位存在より与えられる能力使用権限だ、その力の行使自体はイメージによって制御され、意志一つで以って発動が可能であるが、その仕組みについては彼女は理解していない。知っているのはその力の使い方のみである。
今回生み出す子は、あの小さな世界で命の数を増やす役目を与えましょうか、あの世界ではすでにアメーバが繁殖していますから、幾つか先の進化した生物がいいですね。そうなると・・・、スライムはこれから自分で増やすから、虫・・・いや、蟲にしましょう。ふふ、色々作りますよ~。
※※※
そこには彼女が思い描く蟲が複数蠢いていた。
百足のような頭部と胴体部があり歩肢が10対存在する。頭部には触覚、複眼、顎が存在し、胴体部分のそれぞれの節には歩肢が一対ずあり、呼吸孔が節ごとに一つずつ上部に存在している。これが5匹。
さらに魔核を持ち魔物化した同種の百足が5体存在し、こちらの百足達は今後システムの恩恵を受け魔物特性を獲得すると、色々な種へと変貌するであろう。
彼女によって前者の百足を生物・真核生物・動物界・脊椎動物門・多足亜門・百足地網・百足目・百足。
後者の百足を魔物・魔核生物・動物界・魔素動物門・多足亜門・百足地網・百足目・ペスモルトゥムと分類された。
補足ではあるが、現在地球上の人間が使用している生物分類から階級の引用など行っているが、まったくの別物である。
では、引用されている以外の分類の説明をしておこう。
・魔核生物は魔核を持つに至った生物を指す。
・魔素動物門は魔核を持ち体の維持に魔素を活用する生物をさす。
※この世界での生物も魔素で体の維持が出来るが、食事を摂取する必要がある。これに比して魔素動物門に属するものは、魔素のみで体の維持が可能な生物を指す。
・百足地網は魔物の百足網の内、地を這う百足を指す。
そして、彼女の個人的な趣向でつけられた分類は、儘によってシステムに組み込まれることになる。
彼女の前には5匹の百足と5体のペスモルトゥムがいる。
「母様なぜに百足?」
「何となくですっ。」
「左様で・・・。」
そこに儘が現れる。
「まさか最初に百足を創造するとは思わなかったな~。」
「まー、確かになんの脈絡も無しの、完全な思い付きですからね。強いて言えば私の中で蟲と言ったら百足が思い浮かんだっと、言ったところです。」
「そうですか・・・。とりあえずこの百足は向こうに送りますよ。」
「えぇ、分かりました。」
5匹5体の百足とペスモルトゥムは儘同様何の前触れもなく居なくなった。
「で~は~、権能の使用感覚は掴めたと思うので、今度を魔法のテストをお願いします。今からあなたに魔法システムを適用させて、生命魔法と生命創造魔法を使えるようにするので、よろしく。」
言いたい事だけ告げると不意に居なくなる。
―――
魔法システムが適用されました。
生命魔法を獲得しました。
生命創造魔法を獲得しました。
―――
生命魔法と生命創造魔法は、彼女に与えられた母の権能を魔法システムでダウングレードして再現したものである。本来であれば権能を意志の力で行使し結果を得るのだが、魔法ではステータスシステムで管理されている魔力を用いて魔法の行使を行っている。
ただ、生命創造は光子に作用する為に通常魔力では結果を得ることはできない。これは魔力が第5位階魔子と聖子から作られる魔素で構成されているからである。
故にこの魔法は創世者又は管理者権限を持つものから、第4位階に影響を与えられるように権能の付与が必要である。なので生命創造魔法を使用するためには何かしらの方法で儘や紫髪の女性から権能を授けられる事が使用するための必須条件となっている。
この生命魔法を使用する為には、システムに依らない力の制御・知識が必要になってくる。
魔法とは普通にレベルを上げているだけでは入手困難なもの、というよりかは入手不可と言っていい代物である。
※※※
「正直なところですね、生命創造魔法をシステムとして組み込むのは難しいんじゃないでしょうか?」
「まー、そうなんだけどね。後にこの世界で生まれてくる命にとって分かりやすい創世者からの力の供与っていうのを、システム的に見える形にしておこうと思ってね。これはその内の一つってところ。」
「そうなのですか・・・。理由があるのなら私からはこれ以上何か言うことはないですかね。」
「この辺りのところは、今後の活動で色々あるから魔法の行使そのものに問題が無ければ良いよ。」
「はい、そこのところは大丈夫でしたよ。権能を使っての生命創造の方が楽といった感じですが。」
彼女が生命創造魔法で生み出した存在が蠢く中で話し合う1体と1柱。因みに今回彼女が生み出した生命は蠅である。勿論魔物化したものも生み出されている。
・生物・真核生物・動物界・節足動物門・昆虫綱・双翅目・蠅
・魔物・魔核動物・動物界・魔素動物門・昆虫綱・双翅目・ディプテラ
と、分類もちゃんとしている。
「さて、生命創造魔法に関してはこの程度でいいかな。他の魔法のテストもやってしまおう。」
※※※
「魔法ってかなりイメージで左右されますね。」
「そうだね、システム上で安定して動かすためにかなり劣化させているとはいえ、意志の力で動かすことには変わらないから。」
「想像次第ではかなり融通が利きますね。」
「その代わり、想像力が乏しいと結果が伴わないんだけどね。
さて、魔法に関してはこんなところでいいかな。」
「この程度でいいんですか?」
「魔法は操作系以外に関しては、ほぼこちらの管理下に置く予定だからね。私たちの方で使えるようになる相手は選ぶから、そこに関してはよほどのことが無い限り問題は起こらないと思う。では、ここからが本題と言って言うべき内容に進んでいこうか。」
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