テスター

第20話

「さて、テストを始める前にまずはお勉強からです。」

 ここは、創世者儘が用意したシステムテストをするための空間である。彼女たちが普段いる場所からは隔絶された場所である為、ここから帰るためには儘によって送還してもらう以外の方法を彼女は持っていない。

「まず、話の取っ掛かりとして君に与えた権能について話していきます。」


 第4位階権能母、儘によって彼女に与えられたこの権能は、モデルエネルギー第4位階光子を基にして作られた権能である。光子の持つ特性発生と非常に相性が良いため、非常に多彩な力を持っている権能だ。

 この母がもつ力は主に生命創造の力であり、それを補助する力が多数備えられている。

 新しい命の形を設計する生命想像。

 生まれた生命を保護し成長させる子宮結界。

 生まれた生命を育む母性。

そして、母性を得たことにより本来無性である筈の彼女の肉体は、女性として再生成されている。以前にマザーアメーバの種族を獲得したときに、メスとしての自我へと至っていたため。この変化に対して彼女は特に違和感もなく受け入れられている。

 では、一つづつ説明していこう。

 まずは生命創造、これは第4位階以下の魂創造と、肉体創造を行う力である。

 魂とは本来第3位階魂力によって創造される器たる魂に、魂力を封入したものであるが、彼女の魂は光子によって形成されている。

 話はそれるが儘がこの世界で実験していた生命の自然発生は、この第4位階での魂の発生が自然に行えず頓挫した。

 生命想像は肉体創造時に使用するための設計図作りを行うものであり、この設計図も光子以下のエネルギーを使い作り出すことが出来る。そして、それを基に肉体を作り出す。

 子宮結界は生まれてきた命を保護し、成長を促進させる結界だ。この結界は外部からの衝撃に対しては強靭な強度を誇るが、内部からの衝撃に関しては脆弱である。これは、中で保護した命が自分の力で立つことが出来るようになったら、自力で結界から抜け出すためである。

 最後に母性だが、これは精神的、肉体的に女性の力の発現が行われる。また上記三つの力やそれ以外の細かい能力は、全てこの母性によって発現しているものである。


「ここまでは特に問題ないかな?」

「はい。」

「で・・・だ。魔法システムの力をテストするということだけど、そもそも魔法とは何かってことなんだけど、今説明した君の権能やそれ以外の権能の能力を、システムで再現したものなんだよ。ただシステムに落とし込む際に能力は少々ダウングレードしてるけどね。」


 魔法とは権能の力をシステムで再現したものの事を指す。現状用意している魔法は以下の通りだ。


光魔法

光を制御する。


闇魔法

闇を制御する。


熱魔法

熱を制御する。


大気魔法

大気を制御する。


大地魔法

大地を制御する。


水魔法

水を制御する。


生命魔法

生命の身形や能力を制御する。


 これらの力はシステムの力を使い魔力で以って直接対象を制御できるようになっている。魔素操作との違いは、直接操るか魔素を動かして副次的に操作するかの違いである。

 さらに、操作するための魔法だけでなく創造魔法も存在する。


時空間創造

時空間を創造する。

魂力から権能を使って創造するため、時空間を創造するには創世者権限が必要になる。



精霊創造

精霊を創造する。

光子から権能を使って創造するため、精霊を創造するには管理者権限が必要になる。


光創造

光を創造する。

光子から権能を使って創造するため、光を創造するには管理者権限が必要になる。


闇創造

闇を創造する。

光子から権能を使って創造するため、闇を創造するには管理者権限が必要になる。


大気創造

大気を創造する。

魔素から権能を使って創造するため、大気を創造するには管理者権限が必要になる。


大地創造

大地を創造する。

魔素から権能を使って創造するため、大地を創造するには管理者権限が必要になる。


水創造

水を創造する。

魔素から権能を使って創造するため、水を作成するには管理者権限が必要になる。


生命創造

生命を創造する。

光子から権能を使用し第4位階の魂を創造し、肉体も創造する。管理者権限が必要


光子創造

魂力から権能を使い光子を創造するため、管理者権限が必要


魔子創造

光子から権能を使って創造するため、魔子を作成するには管理者権限が必要になる。


聖子創造

光子から権能を使って創造するため、聖子を作成するには管理者権限が必要になる。


 これらの創造系の魔法はすべて権能を用い行使する。その為創造魔法は儘のような創世者や管理者権限を持つものから、システム上で権能の行使が出来るように管理者権限の授与が必要になる。


 「これが、魔法の概要といったところです。操作系の魔法に関しては、取得条件を難しいものにして、だれでも取得できるようにするつもりだけど。創造系の魔法は私たちサイドの立場の存在から、管理者の権限を与えることによりはじめて使えるようにする予定だね。」

「なるほど、私の権能の母を基にして作られた魔法もあるのですね。」

「そうだよ、だから今後この世界で権能の付与者を増やすたびに魔法の種類は増えるものと思ってくれていいよ。」

「そうですか、それで魔法のテストというわけですが、私は何をすれば?」

「今回は生命魔法のテストをやってもらおうと思う。だけどその前に君には権能を使用する感覚を掴んでもらいます。」

「・・・、権能と魔法の差異を報告すればいいのかな?」

「そうだね、こういったテストは初めての事だし、時間を掛けてしっかりとした報告を上げてくれ、君の経験にも繋がって今後、生命の母として活動するときに役立つと思うからね。じゃ、後は任せるよ。」

 儘はそう言い残しいつも通りに居なくなる。

「母様、行きましたね。」

「えぇ、・・・さて、お仕事お仕事。」

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