第17話

「魔力を用いた水中移動術の確保といきましょう。」


 彼女がまず模索した方法は、自身の周りにある魔素に干渉する方法である。ただこの場合魔素一粒一粒の操作とは違って、空間に満たされている各種エネルギーも含むため、正確にはマナ(魔素・魔子・聖子)の操作になる。

 本来のスキルシステムであれば、魔子・聖子の探知と操作を得、その後経験を積み魔素探知と操作を会得するのだが、彼女はこの想定されている順序を無視して今ここに至っている。

 少々話がずれているので本題に戻そう。

 現在魔力を用い自身にプールされているMPを消費してマナに干渉、それに伴い周辺の水流を発生させている状態だ。後はこれをきちんと制御下において、方向性を持たせてやれば・・・。


―――


スキル水中移動を解放しました。

魔物特性水中適性を解放しました。


―――


「探知を体得するまでの苦労が何だったのかと思うほどに、話が進んでいきますね。」

「確かに、魔子と聖子の探知には少々手古摺りましたからね。」

あの程度で、何か解らない物を探知できるようになった事がどれだけすごいことなのか・・・。比較対象がいないので何とも言えないが、自分一人だったならば数年という月日が掛っていた可能性もあると考えている。彼は思う、それをこの短期間で少々手古摺った程度で体得してしまえたことに、そして、その力がだれからもたらされているかと思うと、尊敬の念しか湧いてこなかった。

「では、レベルが上がり次第スキルと特性を獲得しましょう。」


※※※


―――


レベル55


取得種族

アメーバレベル42

マザーアメーバレベル42

水棲アメーバレベル42


ミニスライムレベル20

スライムレベル20


水棲スライムレベル19

魔物特性水中適性を取得したスライム。


魔物特性

水中適性

水棲種へと進化可能になる。


マナスレベル50


スキル

魔素探知レベル50・魔素操作レベル50・演算能力向上レベル15・算術レベル15



ステータス

MP50/50

オド50/50

魔力50


取得職業

ファーマーレベル2

キャリアーレベル2


取得称号

原初生命体・創造者のお気に入り・アメーバコロニー中枢・最初の魔物・自分殺し・自分喰い・同族殺し・同族喰い


スキル

捕食レベル50・細胞分裂レベル50・レベル注入レベル50・畑創造スキルレベル50・ファーマー創造レベル50・キャリアー創造レベル50・アメーバコロニー管理者創造レベル50・念話レベル50・魔素探知レベル52・魔素操作レベル52・演算能力向上レベル40・算術レベル40


水中移動レベル10

MPを消費して周囲のマナに干渉し水流を操作し移動する。


ユニークスキル

LP変換


ステータス

MP99/99

オド96/96

生命力71

筋力68

魔力69


―――


 水中を移動している流線型のスライムが一匹いた。

 彼女は新たに獲得した特性水中適性により水棲スライムを獲得している。これにより水中で行動をした場合に限るが、全ての行動に補正効果が掛るようになっている。

 今彼女の体が流線型になっているのもその特性の効果によるものである。


「すごいですね~。MP変換とオド回復量が釣り合うようにスピードを調整しているのに、今までとは比較にならない速さですね。」

「確かにそうですね母様。これは適正系の魔物特性は必ず獲得した方がいいと思います。」

「ですね、どうやら魔物適正を獲得するとそれに対応した種族も獲得できるようになりますしね。」

「はい、これで新しい種族が解放されれば、もれなく水棲種も取得できるはずです。」


 彼らの会話は普通ではありえないもので、新しい種族の解放というのは本来ならまず起こりえないものである。起こるとしてもスライムから水棲スライムの様な派生が起こる程度が限度で、さも当然のように1代で別種になることを語るとのは異常である。

 しかしながら、彼女にとってそれは当然のことであり、彼にとっても母様なら出来て当たり前と思っているからこそのこの会話であった。

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