第15話

「さて細胞の数を増やすことによって、情報処理能力を高める試み自体は成功しました。ただ、今後魔素探知のスキルレベルを上げるたびに体積を増やすことになるのでこの方法はその場しのぎにしかならないでしょう。」

「そうですね、このまま際限なく体積を増やしていくのはどこかで無理が出てくるでしょう。」

「今酔いに似た感覚はないので、当面の間は大丈夫だと思いますが、なにか別の対策を講じなければ、スキルレベルを上げられない事態にまで発展してしまうでしょうね。」

「そうなると、やはり膨大な情報処理を補助するスキルの解放になりますか。」

「これに関しては、今後も研鑽を積んでいき、私たちが現状の体積で対応できるうちに、スキル解放が為されるのを祈りましょう。」

「ふ~む、対応を先送りにしただけとも取れますが、現状いい案がないのも事実です。焦らず積み重ねていくしかないでしょう・・・。」

「では、気持ちを入れ替えまして、これより魔力を使用して魔素へ干渉する訓練を行います。」


 彼女は自身の内にあるマナ・・・、オドに意識を向ける。そのオドは自分の体の中を絶えず流動しており、それを魔力を使いその流れを加速させてみた。


「おう、なかなかにこれは・・・、慣れるまで気持ち悪いものがありますね。」


 今の彼女のスライムの体は、オドの加速によって体表面が波を打っている状態である。自分の体の内側から体を動かす感覚、それも筋力に頼ったものではないこの動きは、今まで魔力を使用しオドを操作したことが無い彼女にとって形容しがたい感覚を与えていた。


「どうやら母様の場合、体がスライムの粘性のある流動的な体の為に、かなり大きな変化が起こっているようですね。」

「あなたの場合はそれがないのかしら?」

「そうですね、私の体は魔核、表面はそれなりの硬度があります。表面に関しては余程のことが無い限り影響が受けることはないでしょう。

 その内側にあるものに関しては魔素以外のものがあるというのが段々と解ってきた程度。どういった影響が出ているのかはまだ判然としないです。」

「そうなの、魔素以外の何かが分かればまた進展がありそうね。それは引き続き頑張ってちょうだい。私はこのオドの操作に慣れるために当面の間はこれを続けていくわ。」


※※※


―――


レベル50


取得種族

アメーバレベル42

マザーアメーバレベル42

水棲アメーバレベル42


ミニスライムレベル19

スライムレベル19


魔物特性

マナスレベル50


スキル

魔素探知レベル45・魔素操作レベル45



ステータス

MP50/50

オド50/50

魔力50


取得職業

ファーマーレベル2

キャリアーレベル2


取得称号

原初生命体・創造者のお気に入り・アメーバコロニー中枢・最初の魔物・自分殺し・自分喰い・同族殺し・同族喰い


スキル

捕食レベル50・細胞分裂レベル50・レベル注入レベル50・畑創造スキルレベル50・ファーマー創造レベル50・キャリアー創造レベル50・アメーバコロニー管理者創造レベル50・念話レベル50・魔素探知レベル50・魔素操作レベル50


ユニークスキル

LP変換


ステータス

MP99/99

オド96/96

生命力71

筋力68

魔力69


―――


 心なしかぐったりしているスライムがそこにはいた。

「何とか、体に影響を与えずにオドを動かすコツは掴めました。」

「母様かなり疲れているようですけど、それほど負担が掛ったのですか。」

 彼は疲労を蓄積している彼女の状態がかなり気にかかっているが、自分がそれに対して何もできないのが歯痒かった。

 「心配はいりません、筋肉痛のようなものですよ。時間がたてば違和感も収まるでしょう。それよりもです、ちょっと試したいことがありますので協力してください。」

「はい、何でしょう?」

「これから、魔素同士をぶつけて壊せるかどうか試します。あなたには壊すことに成功した場合何が起こったのかつぶさに観察しておいてほしいのです。」

「解りました。できうる限り詳細に観察出来るように努力します。」

「力を入れず、視野が狭くならないようにお願いしますね。では、始めますよ。」

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