1章

私達は双子

私と妹は一卵性の双子だ。


産まれたのがほんの少し私の方が早かったから私が姉。


それ以外は全て一緒だった。


一卵性とは恐ろしいものね。

容姿は勿論の事、好きな物、学力、体力、思考回路さえ一緒なのだ。



それを幸福に思う事は少なくなかった。


だって、言葉を交わさなくとも目を合わせるだけで互いの思っている事が分かるのですもの。


妹以上に一緒にいて楽しい人はいない。


私にとって妹は唯一無二の存在。


それは妹にとっても同じ事。


自惚れなんかじゃなくて私達だけが共感出来る事実。



そんな私達だから同じ人を好きになってしまうのもしょうがないと思っていた。




……あの日までは



“彼”と出会ってから私達の関係は歪になっていった。



いや、もしかしたらその前から静かに崩壊していたのかもしれない――

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