声かわりLa poupee

一条美琴

プロローグ

私は彼女の声代わり

「愛してるよ茉莉」


「翔、私も愛してるわ」



あぁこれで何度目だろうか。


妹に向けられた『愛』を妹の代わりに『言葉』にするのは……


私にも聞こえているのに……


私が応えているのに……


妹の代わりに応える度、心臓がちぎれそうになる。



どうして?ねぇどうしてなのッ!


なんで私じゃないのッ!



『愛してる』の後に紡がれる名前が私の名前ならいいのに……


そんな事はある筈ないと分かっていながら望んでしまう。



あぁ辛い……愛してる人が別の女に愛の言葉を囁いているなんて……


……でもこれもきっと罰なのですね。

重罪を犯した私にかせられた甘く苦しい罰……

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