第30話 多変数関数同調グッドスタイン数列の計算
G_(1,1)(m)
これは、弱関数同調グッドスタイン数列と同じだ。そのため、増加率はε_0である。
G_(1,2)(m)
これは、G(1,1)を入れ子にしたものだ。入れ子にしたということは順序数において+1に相当するのであった。だから、増加率はε_0+1である。
G_(1,n)(m)
以下、増加率はε_0+n-1であることが簡単にわかる。
G_(2,1)(m)
ここからが多変数関数同調グッドスタイン数列だ。まず、1を与えると、
1
1
0
となって3
よって、G_(2,1)(1)=3
2を与えると、
a=1;
f(0,1)
a=2;
f(0,2)-1=f(2,1)-1
ここで、f(2,1)を計算すると、
f(G(1,2)(2))
G(1,2)(2)の意味は、一変数関数同調グッドスタイン数列の関数列を、弱関数同調グッドスタイン数列の項数にしたもの、に2を与えて始めたときの項数だ。
ここで、新たに弱関数同調グッドスタイン数列の計算をはじめる。
a'=1;
f(1)
a'=2;
f(2)-1
ここで、f(2)とは、G^2(2)であるので、
G^2(2)
=G(7)
≒F_ε_0(6)
さて、第2世代のfは非常に弱いので、このまま計算すると、
F_ε_0(6)-1というような値が第2世代の値で、遺伝的記法は、
f(f(f(..f.(2))...)+f(f(... ... ...+f(2)+2+1
のような形をしていると想像できるが、これは、F_ε_0(6)から始めた弱関数同調グッドスタイン数列に近似できる。よって、
値は、
F_ε_0+1(6)
3を与えてみよう。
第1世代
3=f(0,f(0,1))
第2世代
f(0,f(0,2))-1
ここで、f(0,2)を計算すると今が第2世代なので、G(0)は2になって
f(G(0),1)
=f(2,1)
=f(G_(1,2)(2))
ここで、G_(1,2)(2)≒F_ε_0(6)を使おう。
さて、
f(■,1)<f(0,2)
となる■を求めなければならないが、これは幸運にもすぐに見つかる。なぜならf(2,1)=f(0,2)であるため、
■=1
ここで、f(1,1)を計算すると、
f(1,1)
=f(2,0)
=f(2)
=4
すなわち、f_ε_0(6)ほどの大きさであるG_(1,2)(2)=G_(1,1)(7)を4で割った商をkとすると、求めたかった
f(0,f(0,2))-1
は
f(■,f(1,1)+...(k個)...f(1,1)+■)+...+■
という構造になる。左の■にはなにがふさわしいか。
f(x,G_(1,1)(7)-1)<f(0,G_(1,1)(7))
であるような最大のxである。
そこで、G_(1,1)=Aとして、f(0,A)を計算しよう
f(0,A)
=f(G_(1,2)(0),A-1)
=f(2,A-1)
=f(G_(1,2)(2),A-1)
=f(A,A-1)
=f(G_(1,2)(A),A-2)
こうなると数は大きいが構造がわかりやすい。省略して計算すると、
=f(G^A(1,2)(0))
≒F_ε_0×2
となる。1変数関数のfは2倍するという、もはやどうでもいい関数だ。急増加関数の入力がないのはいつものことだ。
さて、大きさのレベルがわかった段階で、xをF_ε_0×2で近似してしまおう。
なお、この値は再び多変数関数遺伝的記法で書かれることになる。
真ん中の■は0~3のいずれかの数で、大して問題にならない。一番右の■は大きさのレベルは変わらずF_ε_0×2である。
すると一番右の項は、やはり二変数のfで書き直す必要がでてくるが、これは、
f(■,G(1,2)-2)という形をしている。
以下同じように繰り返し、
f(■,1)になるまで繰り返す。なお、この■は依然巨大な数である。
f(■,0)の項は、
f(0,1)
=f(G(0),0)
=f(2)
=4
より、
f(2,0)が一つできることのみわかる。
その後の定数項は、
2+1
2
1
0
の4通りが考えられる。これは下限を考えるために、仮に0として計算を進める。
ここまで見て、
全体の式はかなり難解なフラクタル構造になっている。構造だけでいうと、φ(φ(1,0),0)に似ている。ただし構造と大きさが必ずしも一致するとは限らないので、これを大きさとするのは早計である。
第3世代を見てみよう。
f(2,0)の項が
f(3,0)=3^2=9となって、
この部分から1引かれる。このあと第12世代までら大人しいことがわかる。
第13世代は、
f(f(f...f(13+1)...)
か、
f(f(f...f(13)...)
の項が崩れる。これは、弱関数同調グッドスタイン数列と同じ構造で、
F_ε_0+1
で近似できる。
それから、f(■,0)の項が全て消えるのは入れ子構造にすぎないので、
F_ε_0+ω
f(■,1)の項が崩れるときは、入れ子の回数を弱関数同調グッドスタイン数列の入れ子で数える。つまり、
F_ε_0+ε_0となる。
1つ崩れるたびにε_0が足されることから、
f(■,1)が全て崩れるころには、
F_ε_0×ωほどになっている。
次にf(■,2)を見てみよう。
これは、2が1になる代わりに、■の部分が大量のf(■,1)の入れ子で埋まる。
f(f(■,1),1)は、ωを掛ける回数をε_0×ωで数えているので、
F_ε_0^2ほどになっている。(ω×ε_0=ε_0に注意)
入れ子の回数が、ωの指数と同じということがわかるので、f(f(...f(■,1))...)は、
ε_0^ε_0
ということがわかる。(入れ子の個数はε_0ほど)
以下少し議論を飛ばすが、f(f(...f(■,1))...)が全て消えるころには、ε_1ほどの強さになっている。
順序数と同じ構造が見えてきた。f(■,k)は、ε_kと近似できる。よって、最終的に、ε_ε_0であることがわかる。(kのオーダーがε_0であるため)
2を与えるとε_0、3を与えるとε_ε_0になることから、この2変数関数同調グッドスタイン数列の項数は、F_φ(2,0)としてよい。
次が三変数のときだ。
1を与えると、3になるのは例のごとくだ。
2を与えると
a=1;f(0,0,1)
a=2;f(0,0,2)-1
ここで既に計算を諦めたくなるような大きさだが、頑張って計算してみよう。
f(0,0,2)
=f(0,G(2,2)(0),1)
=f(0,2,1)
=f(0,G(2,2)(2))
ここで、G(2,2)(2)とは、2変数関数同調グッドスタイン数列に2を与えて始めたもの。ただし、関数列自体が2変数関数同調グッドスタイン数列を用いて定義されたもの、だ。
そこで新たにグッドスタイン数列の計算をはじめよう。
a'=1;
f(0,1)
a'=2;
f(0,2)-1
=f(2,1)-1
=f(G_(1,2)(2))-1
≒F_ε_0+1
さて、ここで関数列自体が弱関数同調グッドスタイン数列の入れ子になっている弱関数同調グッドスタイン数列に、F_ε_0+1を与えて始めるものだ。
新たにグッドスタイン数列の計算を始めよう。
1を与えてはじめると、3
2を与えて始める。
a"=1
f(1)
a"=2
f(2)-1
=G^2_(1,1)(2)-1
≒F_ε_0(7)
この値はそのまま項数に近似できる。
3を与えて始める
a"=1
f(f(1))
a"=2
f(f(2))-1
≒f(F_ε_0(7))-1
=f(F_ε_0(7)-1)+...
改めて解析をしよう。
f(a);ε_0
f(a+1);ε_0+1
f(a+a);ε_0+ε_0
f(f(a));ε_0^2
これは、ε_0をε_0回ほど足していることに相当しているからである。
よって、
F_ε_0^2がおよその大きさとなる。
4を与えて始めると、
f(f(f(a)))という項ができる。解析を続けよう。
f(f(a)+a);ε_0^ε_0
f(f(a)+f(a));ε_0^(ε_0^2)
f(f(a)+...);ε_1
f(f(f(a)));ε_2
f(f(f(a)+f(a)+...));φ(2,0)
f(f(f(f(a))));φ(2,φ(2,0))
よって、この数列の大きさはF_φ(3,0)程度であることがわかった。戻ろう。
f(0,0,2)
=f(0,G(2,2)(0),1)
=f(0,2,1)
=f(0,G(2,2)(2))
≒f(0,F_φ(3,0))
≒(2,F_φ(3,0)-1)
この計算をするために何度もグッドスタイン数列の評価を行ったが、何種類ものグッドスタイン数列の評価を一々行うのは非現実的なので、想像に任せるしかないが、この大きさはF_φ(1,0,0)ほどであると思う」
「つまり、構造とφ関数がほぼ一致している、という予想ですね」
「その通りです。それが間違っていなければ、多変数関数同調グッドスタイン数列の大きさは、小ウェブレン順序数ほどということになります」
「そうであることを祈ります。さて、もう夜も遅くなってきましたからそろそろ帰りましょうか、グッドさん」
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