第28話 星を見る

 そして、私たちは今度はバスに乗って移動し、さらに人気のない場所に行った。リディアさんは何も迷うことなく先導する。何をしている人なんだろう。リディアさんはリュックから懐中電灯を二本取り出し、一本を私に渡した。

「気を付けてくださいね。特に足元・・・」

 そして、坂道を上り続ける。空の色が朱色になり、太陽と逆側から群青が空を侵し始める。さらに群青を追いかけるように黒が迫ってくる。しかし黒は暗黒を導いたのではなく、星々を導いたのだった。

「ここは・・・」

 私がそういうと、リディアさんは懐中電灯を消す。私も懐中電灯を消す。すると空いっぱいに星が広がっていた。


「天の川が見えますか?」


 天の川は、非常に暗い空に通る一本の筋だ。知識としてあることは知っていても、ほとんど見たことが無かった。幼い頃、天の川を見たらしいというようなことは聞かされていたが、私は意識もしていなかったと思う。


「昔の人はこの星空で星座を見ていたのです。私たちも自分だけの星座を書きませんか。宇宙が始まり、この銀河と太陽と地球を作り、私たちを作ったことを感じませんか」


「リディアさん、私はついに思いつきました。今までのことはすべてこのためにあったんだと。私の考えを聞いていただけますか」


「ええ、お話ください」

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