第7話 復帰4
雪司たち四人は多摩川沿いを歩いて、目的地の廃倉庫に着いた。
途中、夕日が綺麗とか言いながら写真を撮ったり川遊びをしている小学生を見て、私も混ざるとか言いながら蛙や魚を取って遊んだ──全て星一人だ。これにより予定の時間を三十分も過ぎてしまった。
廃倉庫の入口には見張りと思われる人が四人立ってくっちゃべっていた。
「よう、お疲れ」
雪司は右手を上げて四人に近付いた。
「なんだてめぇ」
さも知り合いのような挨拶をしたのにも関わらず声を荒らげ、四人は身構える。
「どこのモンだ?」
「いやいや、どこのチームにも入ってないから」
「そんなわけねぇだろ。ちょうど礁人さんが戻ってきたってのに」
「だから・・・」
雪司が言い終わる前に一人が殴りかかってきた。それを危なげもなく上半身だけを反らして躱し、その人の顔に向けてハイキックを反射的に繰り出す。雪司の蹴りを受けた人は斜め後ろにうつ伏せで倒れた。
やってしまった、と思っても後の祭り。一人が倉庫内に駆け出し、侵入者だ、と大声で叫んだ。
残った二人は雪司を襲おうとしたが、星のラリアットと咲心の払腰に気付いたら天を見上げていた。
「登、これ持ってて」
雪司は礁人の手土産を登に預けた。登は非戦闘員だからだ。
そうこうしている内に星と咲心は入口を跨いでいた。雪司は待てや、と心の中で叫びながら走って廃倉庫の中に入った。
雪司たち三人は次々と襲ってくるダイヤモンドダストのメンバーを秒殺で止まることなく倒していく。
広場に近付くにつれ、歩みの速度は遅くなっていく。何故なら倒すと言ってもただ転がしているだけですぐに立ち上がり、また後ろから襲ってくるからだ。それでも誰一人一発ももらっていないのだからダイヤモンドダストのメンバーたちは驚愕し、どんどん士気が下がっていく。
「何者だよ、てめぇら」
「だから、挨拶しに来ただけだっつうの」
雪司は一番後ろにいて登を守りながら相手していた。進むにつれて相手する人数がどんどん増えていくためにイライラが募っていく。
そうして広場まであと少しのところまで来てようやく礁人を見つけた。
「てめぇら何してる?さっさと止めんか」
礁人は廃倉庫内に響く程の怒号をあげた。その声は脊髄まで響き、身体が一瞬固まり動けなくなる。
その縛りから一番に抜けた雪司たち四人は動けなくなっているダイヤモンドダストのメンバーたちの間を縫って礁人に近付く。
「お勤めご苦労様」
「四年ぶりだな、我が家族よ」
礁人と雪司は勢いよく抱き合った。
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