第5話 復帰2

 白のカラーギャング《ダイヤモンドダスト》。世田谷区を拠点とした武闘派チームである。頭である礁人不在の四年間で何度もあった抗争に一度も負けることなく勢力を拡大していき、東京五大カラーギャングの一席に座っている。

 礁人たちは多摩川沿いにあるねぐらの廃倉庫に帰った。

「よくもまーここ壊されてないね」

 四年前以上から廃墟となっている倉庫。塗装はほとんど剥がれ落ちて、雨漏りもするのにも関わらず取り壊されることもなく、電気すらも供給されている。

 中に入れば大量のコンテナが乱雑に置かれているように見えるが、実は迷路になっていて正しい道を進まないと奥の開けた広場に出られない。

「上手くできてるね。お前らでやったのか?」

「まさか。あの人たちにやって頂きました」

「へえー、あいつらか。あ、あいつら来ないのか?」

「来るとは思うのですが。連絡は入れたので」

「ま、その内会いに来るだろう」

 礁人は広場にある一際大きなソファに腰を掛ける。四年前にはなかったものだが。

 一息ついた礁人は刑務所で気になっていたことを聞いた。

「それとそうと、本当に抗争一度も負けてないのか?」

「引き分けも多くありますが、一応」

「一応、ね。あいつらにでも頼んだのか?」

「いえ、しかしピエロに助けて貰いました」

「ピエロだ?なんだそのふざけた奴は」

「私たちにもよくわかりません。しかしピエロのマスクを被った人がこちらが不利になると現れ、数分敵を倒すだけ倒したらすぐどこかに消えていってしまうのです」

 このピエロという存在がなければ負けていた抗争は幾つもある。だが敵を全滅させる理由ではなく、隆正たちだけで何とかなるくらいに減らすことしかしなかった。

「ほおー。そんな奴あいつら以外にいるっけな?そいつから何か言ってきてたりしないか?」

 隆正はうーん、と首を傾げて後、はっと何かを思い出した。

「そういえば、初めて会ったとき何者かと聞きました。そのときその人はこう言いました」

『俺のことはピエロとでも呼べ。理由あって被り物をしているが、礁人が戻るまでお前たちを守ってやろう。お前たちももう重要な駒だからな』

 それを聞いた礁人は目を丸くした。思い当たる人が一人だけいた。こんなに偉そうな態度をして、喧嘩が強く、顔を隠さないといけない。そんな奴は一人しかいない。

 礁人はフッと笑みを浮かべた。しかしそれは一瞬のことであった。何故なら、

「敵襲。何者かに侵入され、入口が突破されました」

「なに」

 隆正が激怒し、勢いよく立ち上がった。

「広場に入れさせるな」

 隆正はチーム全員に突撃の命令を出した。

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