第2話 Prolog2

 リクとゆっきーの闘いを見ている客は隣に座るキャストと声量を抑えて話している。その内の一席にヤクザと座っている星は冷めた目で二人の闘いを見ていた。

(どうせゆきが勝つし)

 そう確信している星に隣に座る客が話しかけてくる。

「今の凄くカッコイイな。喧嘩で前宙する人なんて初めて見たよ」

 興奮している客に満面の愛想笑いを浮かべて話を弾ませる。

「そうなんですか?私とゆっきーは幼馴染なのでよく見るんですよ」

「え、二人って幼馴染なの?凄い偶然だね、同じ店で働いているなんて」

「いえいえ、一緒にやろうって言って働いているので」

「へえー、この業界では珍しいね、幼馴染で入るの」

「そうなんですか?見ての通りゆきは腕っぷし強いですし、私も昔は一緒に悪いことしてたんで」

「そんな風には見えないな。こんなに綺麗なのに」

「またまた〜。口が達者ですね。そうそう、この間話してた件はどうなりましたか?」

「うちに見学に来たいって話だっけ。入るならって条件付きならいいって言ってたよ」

「うーん。困りましたね。どんな仕事しているか見てみたいだけなんですよね。ゆきが思い描いているようなところじゃないって」

「ゆっきー君が?ゆっきー君が来てくれたら心強いね、こんなに強いんだから」

「強いだけじゃやっていけないですよね?強ければ早く昇進してお金いっぱい貰えるって考えているんですよね。馬鹿だと思いません?」

「確かに今の世の中頭良くないと生きていけない世界だよ。でも格闘できるのも立派な力だと思うよ」

「そういうものですか?まあ、でもアイツ頭悪いんで使い捨てられる気がします」

「あはは、そんなことないでしょ。そうだ、入るっていう体でうち来てみなよ」

「あは、それは今見て喧嘩強いから言ってますよね。他に取られる前に取ってしまおうという」

「そんなことないよ。見学してみて入りたいって思ってくれたらいいな、って思って」

「それなら行ってみたいですね。あ、もう終わりそうですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る