没ネタ②

78話 理恵・パワーアップしたいの続きで考えていた話


◆   ◆   ◆


もう少し余裕を持って学校に着けないものか?

イグニッションコイルの強化でエンジンの力は増した気はするが

加速は良くなれど、最高速度が速くなる事は無かった。


「う~ん、やっぱりもうちょっと速くしたいなぁ」

速人や綾からはもう少し早く起きれば良いと言われているが朝は眠い。

理恵はもう5分寝る為の時間を稼ごうとバイク雑誌を見ていた。


「あ!これや!」


理恵は何かを見つけてスマホで検索を始めた。


   ◆   ◆


「なぁ、おっちゃん♡ターボって知ってる?」

「知らん方がおかしいんと違うか?戦時中に空の要塞と呼ばれたB29で

~(中略)~排気ガスの力でタービンを(以下省略)」


「…で、今の日本は軽自動車からGTRみたいなスーパーカーまでターボ天国や」

「長い!説明が長いっ!」


予想外に長かった大島のターボ解説で理恵は頭が混乱した。


「昔はバイクでもターボ付きのモデルが在ったんやぞ」

「そう!それでな!私のゴリラちゃんにもターボを付けて!」


「あのな、ターボってのは排気ガスの勢いで風車を回す訳やからな…」


理恵のゴリラの様な小排気量車では排気ガスの勢いが弱くて回せるタービンが無い事・キャブレター車では適切な混合気を供給出来ない事そして…


「多分やけど、ボアアップするより何倍も金が掛かるで」

「それはちょっと厳しいかな?」


「そもそもバイクみたいな回転域の広いエンジンにターボは向いてない訳よ。

一定回転で回す飛行機用とか、回転域の限られるディーゼルエンジンとか。

そんなエンジンに向いてる機構やと思うぞ」


    ◆    ◆

「わ~ん!寝過ごした~!」

ポロロロロロ…ガチャコン…ポロロロロロ…

『だから、もう5分早く起きなさいって言ってるでしょ!』とでも言うがごとく

今日も国道161号線バイパスでは理恵とゴリラの叫ぶ声が聞こえるのだった。


この後、ゴリラは大して変化が無く理恵の嫁入り道具になるのだが

それはまた別のお話。


     ◆     ◆     ◆

※作者コメント


キャブレターでターボはセッティングが難しいのと理恵のゴリラに積んである75㏄でタービンを回すのは非現実的かなと。オイル管理の面でもシビアになりますし、費用という面でも高校生が気楽で扱える代物になりそうもないと思いました。


理恵みたいなエンジンが暖まっていない状態でアクセル全開にする娘には

デリケートなターボは向いていないかとも思ってボツにしました。

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