没ネタ③
クリスマスで大島が売ったチタン製のリングの後日談。
◆ ◆
「行ってきます」
「あれ?磯部さん、リング付けたままでよいの?」
「あ、これ?男避けよ。変な奴が居るの…」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
最近メイクや服装を変えた磯部さんは優しく可愛らしい雰囲気になった。
その代わり、寄って来る男も居るらしい。
「おい、お前」
「ん?」
ドスッ…
腹が熱い…見知らぬ男が血濡れの包丁を持って立っている…
「あ…」
「これで…これで磯部さんは俺の物だ!怪物から解放したぞ!」
「う…嘘やろ…リツコさん…危ない」
男が逃げた。追おうとするが力が入らない。目の前が…暗い…寒い…
かつて藤樹商店街に小さな自転車屋が有った。
自転車屋だが店主の得意なのはミニバイクの修理だった。
彼の直したバイクには魂が籠っていたと言われている。
だが、その店のシャッターが開けられる事はもう無い。
「戻って来たね。しばらく見ないうちにボロくなったかな?」
「まずは店から修理しないとね。頑張れ、速人」
速人は大学卒業後、3年の遠距離恋愛の後に理恵と結婚した。
バイク部品メーカーに就職して順調に出世していたが、多忙による
疲労とストレスにより30代前半から胃潰瘍や不眠に悩まされていた。
「多少の蓄えはあるから、帰ろう。安曇河に帰ろう」
見かねた理恵の勧めで会社を退職して再び高嶋市へ戻って来たのだ。
◆ ◆ ◆
※作者からのコメント
こんな最終話を考えていました。もう少し話を続けたかったので没です。
この話だと大島が死んでしまうのでボツにしました。主人公が死んでは第二章とか言って再開する事も出来ませんからね。実はこの話を使って話を終わらせようかと思っていた時期があります。誤字脱字をしつこく指摘する警官に絡まれていた時です。詳しくは文字ラジオにて。
この話ではリツコは食生活の乱れと酒の飲み過ぎで体を壊し、葛城は転勤。
綾と亮二は結婚して理恵達とは疎遠になっています。大島サイクルは空き家となり、金一郎が物件を管理しています。道具や中にある部品ごと本田夫妻が買い取って続編の『本田サイクル繁盛記・理恵と速人の小さなお店』がスタートしてたかも。
今都・蒔野は高嶋市から独立。今都市となっています。
平和を尊重して自衛隊を憲法違反だと主張する政党の働きにより
自衛隊が撤退。自衛隊の助成金が無くなり、豪雪の年に災害救助要請を出しても
自衛隊から無視され続け、財政破綻寸前になっている所へ彗星が落下。
多数の死者と行方不明者で市民の大半が死滅して壊滅しています。
高嶋市北部地域は落下した彗星の威力により、半径4㎞のクレーターが出来、
琵琶湖の水が流れ込んで琵琶湖の一部になっている設定。
速人と理恵が高嶋市に帰ってくる辺りは理恵の初夢として再利用しています。
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