僕は未熟な心の先生

だきまくら

第1章 僕達の関係、その始まり

プロローグ 台本の無い役者達

第1話 ちょっとした別の場所での出来事

 

 輝く光陣。

 見渡す限りの煌き。壁も床も、アクアマリンの水晶『クリスタル』で覆われた厳かな、そう、神殿のような場所で光を放つこの光陣。

 知り合いは計画の鍵を握るのは台本のない役者だから、気負う必要は無いと言ってくれたのだが、自分がこの役目を任された以上、たとえ知り合いがそれ以上に困難な役目だとしても守れそうにない。

(…………)

 彼女と対面した時、自分と知り合いは台本を持たぬ役者達の心を知りたいと言った。

 彼女は台本を持たぬ役者を救いたいと言った。

目的が達成できるなら、過程が多少変わろうと関係ない。

「どうしたのですか?」

 迎えに来てくれた彼女は人の姿をしているが、実際そうでないことを自分は知っている。自分自身も今は形を成しているけれど、本来決まった形を持たない。不定形の存在だ。

「いえ、大丈夫です」

 こくりと唾を飲み込み、光陣に向かって一歩、また一歩と足を進めていく。

 不安から足を止めそうになる。

 だけど、勇気を振り絞ってまた近づく。

 その、繰り返し。

 やがて光陣の中央に彼女と自分は立った。

 周りには黄緑色のぼんやりと光る球体がいくつも現れ、鏡のように自分の姿を映し出す。

 瞬間、黄緑色の球体がゆっくりと自分の周りを回り始め、自分はその中に出来たさらなる光に包まれた。光の中は、とても暖かかくて、心地良かった――。


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