第4話 アイオンとゼロ


「閣下がお呼びですよ」


アイオンの声が朝日に響く。ユニオンは眠い目を擦りながら、のそのそと起き上がって洗面台の前に立つ。


昨日の今日でこんな早朝に呼び出すとは何事かと思いながら、顔を洗い髪を梳かし一本に結わえて、身支度をして慌ただしく部屋から出て行った。


「貴様、いつまで待たせる気だ」

「おじいちゃんはお早いですね」


金髪の美しい髪をたたえる青年を前に、ユニオンは嫌味ったらしく言い放ったのであった。宰相であるアイオンは、青年の横に控えて、これまた態とらしくため息をつくのであった。


「今日は非番であっただろう? 久し振りに貴様と手合わせしたくてな」

「それは業務時間内に含まれるのでは?」

「何、朝飯前の軽い運動みたいなもんだ。重く考えるな」


青年は嬉々として立ち上がる。2mほどあるその身長に重厚な鎧を装着しているため、閣下というより将軍のような出で立ちをしている。


「ではゼロ、朝食のヨーグルトを賭けましょう」

「フッ、いいだろう」


ユニオンとゼロは腰に携えてある剣を確認して、闘技場へ二人仲良く向かうのであった。

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