第3話 愛音とユニオン
彼女はよく戦った。大雨の中、無数に広がる血の海と、真っ赤な髪がよく似合っていた。殺戮が好きだったが、建前は大切な人を守るためという事にして血の海の上では哀しそうな顔をしていた。
人は人を殺める時、遺伝子が悲鳴をあげる。彼女にはそれが快感に思えて、いつもその大切な人から依頼があると、表上は渋々と戦うのだった。
「今日の成果はどうだった?」
「愛音の言う通り、ヘンテコな集団だったわ」
愛音と呼ばれた少年は、ニッコリと笑って、ベッドに横たわる彼女の脇に座る。調度品も、椅子もテーブルもない殺風景な部屋だから、座るところがここしかなかったのだ。
「シーツはいいわね、洗えば綺麗になるから」
赤髪の女性は、仕事が終わった時のままの状態で寝そべっているものだから、返り血が自分のベッドについてしまっている。それを恨めしそうに見ているのだ。
「ユニオン、だからってそのままは感心しないなぁ」
「あら、そう? 私は別にあなたに感心されたってされなくたっていいわ」
「またそういうこと言う」
可愛くないなと少年は溜息をついて、懐から札束を取り出して、気軽にポンッとベッドの上に置く。
「ご苦労様。お腹が空いたらどこか食べに行こうじゃないか」
「私のお金で外食するってこと?」
ユニオンは脇目に札束の枚数を数えながら、愛音に嫌味っぽく笑ってみせる。
「そんな事言ってると先に食べちゃうから」
「あら、冗談よ」
少年は年相応に拗ねて見せると、ユニオンはくすくすと楽しそうに笑う。この二人が歪な関係になる時の物語はまた今度。
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