第39話 開運!とんでも鑑定団

 ハトちゃんが蔵の錠を外して扉を開くと、しばらく人の出入りが無かったのか、入口から差し込む光だけでもそこら中に薄く埃が積もっていることが見て取れた。奥の方は暗くてはっきりとは見えないが、暗闇に微かに浮かぶ輪郭から様々な物が置かれている事が伝わってくる。こりゃ物色するのは骨が折れそうだ。


「いやぁ、少し暗くて見えにくいですけど、『宝物庫』ってだけあって確かに色々と置いてあるみたいですね」

「ああ、奥に採光のための鎧戸がありますので、それを開けたら今より明るくなるはずです。ちょっと開けてきますから、この辺りの物でも先に見ていて下さい」

「あっ、そうなんですか。それじゃ適当にこの辺を漁ってますね」

「ねぇねぇ、あたしの王冠はどこ? もちろん宝石がこれでもかといっぱいついてる超豪華なやつよ! あ、煌びやかな衣服や装飾品とかでも大丈夫よ!」

「戦いがいのありそうな強そうなお宝は? 適当にその辺の殴っていいかな?」

「おいお前ら図々しいぞ! ここには俺の変装のための小道具を探しに来てるってことを忘れんなよ!」

「はは、どうせ置いてあるだけなんで、気に入った物があればどれでも持っていってくださって構いませんよ」


 その言葉を聞いて「ヤッターッ!」と喜ぶセツカたちを横目に、ハトちゃんは蔵の奥の方へと消えていった。それを目で見送ってから視線を入口付近へと戻し、近くの物品を観察してみる。右側にある棚にはいくつものツヅラが、左側の棚には大小様々な木箱が置かれているようだ。と、木箱に混じって、棚の一角に土偶らしき物が置いてある事に気がついた。


 なんで一個だけ土偶? と不思議に思いながら近づいて手に取ってみる。触ってみた感じ、やはり土製の素焼きみたいだ。ジロジロと更に観察してみるが、素朴かつ質素な見た目で、お宝という風には全く見えない。


 う~ん、実はレアな年代物とかなんだろうか、なんせ土偶だし……あ、でもなんかそこはかとなくユーモアのある顔してんなコレ。


「ワッハッハ! お、おいマリー! この土人形見てみろ、こりゃ笑えるぞ!」

「あらあら何なの? そんなアホみたいに大笑いしちゃって……あらま、確かぬぼーっとしてて面白味のある見た目はしてるけど、そこまで笑うほどかしら?」

「いや、この間抜けな顔とベチャッとした体形がお前そっくりで大爆笑だろ?」

「おい喧嘩売っとんのか! 上等じゃ買ってやるわよグルァッ!!」

「お、おい危ないからこんな狭い場所で暴れんな! まだ手に土偶を――」


 そこまで喋った所で手から物がつるっと抜け出る感覚がし、「やべッ!」と焦った次の瞬間、「がしゃあんっ!」と小気味良い音が蔵の中に響いた。恐る恐る地面に視線を落とすと、そこには無残にも木っ端微塵となってしまった土偶の姿が。ああ~あ、やっちまったよ……。


「だから暴れんなって言ったのに……どうすんだよ、これ……」

「あ、あんたがもっとちゃんとしっかり持ってないから落ちちゃったんでしょ!? 神の眷属のくせして握力弱すぎるのよ! 神の小間使いにでも改名したら!?」

「はあ? 責任転嫁すんじゃねえ! 俺がもっと力込めて握ってたらとっくに砕けてたっての! あっそうだ、妖精汁かけたら直らないのか?」

「こんな土くれに効くわけないでしょ? 残念だけど生き物にしか効かないわ」

「はぁ~……いっつもあんなに鬱陶しく自慢してくるくせに無生物には効果無いとか……超がっかり大王マリーに改名することをオススメしますわ」

「誰ががっかり大王じゃ! そもそもあんたが最初に挑発したんでしょうが!」

「ちょっとシンタロー達、埃が立つからあんま騒がないでよー?」


 迷惑そうな顔で文句を言うセツカに構わず、マリーとお互いに責任をなすり付け合っていると、騒ぎを聞きつけたらしいハトちゃんが「どうかしましたか?」と奥から戻って来た。


「あ、ハトちゃん……それが、ここに置いてあった土偶を落としちゃって……」

「これだけは言っておくけどあたしは全くこれっぽっちも悪くないからね!」

「土偶? ああ、それなら心配いりませんよ。ほら、見てみて下さい」


 ハトちゃんが粉々の土偶の方を指差し、俺とマリーは「へっ?」と地面へと目を向けた。すると直後、バラバラの土偶の破片が小刻みに震え始め、ヒュンヒュンと小さな風切り音を立てながら一か所に集まってくっ付いていき――瞬く間に、元通りの姿になってしまった。


「うおおっ! さっ、再生した!?」

「き、気持ち悪いわね……何よこの土くれ、実は生きてて再生する珍しい土人形だから『お宝』とか?」

「いえ、これは古の魔女アンジェリカが作ったと言われている『もう二度と、お前を離さない』って魔道具なんですよ」

「ははぁ、なるほど、魔道具……」

「何なのよ、その妙にキザったらしい名前は……」


 確かにマリーが言うように、妙にロマンチックというか、のっぺりとした外見の土偶には似つかわしくない名前だ。でも再生能力を持ってるし、「古の魔女」なんて偉そうな人が作ったってくらいなんだから、実は凄い能力を秘めてるんだろうか?


「一体何に使う魔道具なんですか? まさか飾るだけって事は無いんでしょう?」

「この魔道具はですね、特定の人物の血を一定量これに染み込ませると、その人物をどこまでもしつこく追いかけまわし、それはもう酷い目に合わせるっていう魔道具なんですよ」

「えっ、『二度と離さない』ってそういう……?」


 魔道具っていうかただの呪いの人形じゃん。しかも再生能力付きときた。


「こんな心底間抜けな見た目してるくせにおっかなすぎでしょ……さすが魔女なだけあって性格悪い物作るわねぇ。絶対に嫌われ者だったはずよ、その魔女」

「お前に言われたら『古の魔女』もお終いだな……そうだ、ちょっと試しにこれに妖精汁かけてみろよ」


 土偶を拾い上げてマリーの方に突き出しつつ提案してみると、マリーは「はあ? なんでよ?」と怪訝そうな顔になった。


「いや、血じゃなくて妖精汁でも追いかけまわすのか実験したくね?」

「『実験したくね?』じゃないわよ! 万が一それであたしが追いかけまわされたらどう責任を取る気よ!?」

「責任だぁ? もしお前が勝ったらこの呪いの土偶が消滅、お前が負けたら目障りな羽虫がこの世から消滅、引き分けならどっちも消滅、で誰も損しないどころか得しかしない完璧な作戦だろうが。ほれ、理解したならいつもみたいに早くこれに唾を吐け!」

「あたしが損しかしてないでしょうが! それに唾じゃなくて妖精汁だって何度言わすんじゃゴラ!!」


 手に土偶を握ったままギャアギャアと言い争いをしていると、興奮して喚くマリーの口から飛び散る唾が土偶に付着し――その瞬間、土偶が俺の手の中でビクビクビクッ! と激しく痙攣し始めた。


「うわあああ! あっ、暴れ出したッ!?」

「ひいいッ! ちょっとあんた絶対にそれ離さないでよ!?」


 マリーが悲鳴を上げながら物陰に身を隠す。その場に残された俺は手をしっかりと握りしめ、ガクガクと暴れる土偶を必死に押さえ込んだ。こいつマジで血じゃなくても動くのかよ!?


 気味悪さに耐えながら頑張って押さえつけていると、徐々に痙攣は収まっていき、やがて土偶は完全に動かなくなった。恐る恐る手を緩め、ほっと安堵の息を漏らす。


「あ~、ビビった……血じゃなくて唾だったからすぐに止まったのかな……」

「つ、唾じゃなくて妖精汁だっての……もうそれ棚に戻してくれる……?」


 呪いの土偶の恐ろしさのあまり、流石のマリーも声に元気が無いようだ。とは言え、俺もこんな不気味かつ危険な物をずっと手に持っていたくはないので、さっさと元あった場所に戻したのだった。くわばらくわばら。


「はぁ……『宝物庫』なんて言うから、あたしはてっきり財宝がたんまり置いてあるもんだと思ったのに……まさか他のお宝もあんな変なのばっかりなんじゃないでしょうね?」

「いや、そもそも財宝目当てでここに来たんじゃないけどな……」


 でもまぁ心配なのは俺も同じだ。ハトちゃんは武具や防具もあるって言ってたけど、今の土偶みたいなヘンテコなのじゃなけりゃ良いんだが……。


 はぁ、と小さなため息と共に蔵の奥へ目を向ける。さっきまでは真っ暗だったが、ハトちゃんが鎧戸を開けてくれたおかげで光が差し込んでおり、今はだいぶ明るくなっている。最初に見当をつけた通り、奥にもかなりたくさんの物が収納されていた。


 そのまま視線を巡らせていると、ふいに物陰からライタがひょこっと顔を出して「おーい、こっちこっち!」と手招きをした。さっきからなんか姿が見えないなと思ったら、あんな所で物色してたのか。


「おっ、ライタどうした? なんか良さそうなのあったか?」

「おう、おれのオススメはこれだっ! 強そうな剣だぞ!」


 ライタが「ほら、これだっ」と右手で何かを引っ張り出してくる。確かに、手に握られているのは剣の柄のようだ。おお、意外にもマトモなのがきたか、とワクワクしながら引っ張り出されてくる剣の刀身に目を向けた、が――目に飛び込んで来たのは「切れ味の鋭そうな刃」などでは無く、どう見てもただの「縦長の鉄板」だった。


 その「鉄板」の横幅は俺の胴と同じくらいで、分厚さは五センチほど。刃渡り(?)はかなり長く、ざっと見積もって一五〇センチは優にあるだろう。えっ、これ建設現場とかに置いてあるやつじゃないの?


「あのさ……それ、まだ剣になる前の素材とかじゃないよね……?」

「なに言ってんだ、立派な剣だろっ! ほら見ろ、ちゃんと柄もついてるしっ」

「いや確かに柄だけ見ると剣っぽいんだけど、肝心の刀身がね……」


 これってもはや「剣」じゃなくて「棍棒」って言ったほうが適切だよね。「斬る」っていうより「撲殺」って言葉の方が似合う感じ。俺が思てたんと違う……。


「あらやだ、粗雑かつ粗忽なあんたに実にお似合いの剣じゃないの!」

「ふむ、言われて見ればお前を叩き潰すのには最適の道具かもしれんな。さっそく叩き潰されていくかい?」

「ふざけんじゃないわよゴルァ! 夜中にこっそりさっきの土偶にあんたの血を染み込ませたろか! 震えて眠れ!」

「お前それは洒落にならんからマジでやめろよ! もしもやったらお前の妖精汁を土偶にぶっかけまくって呪いを上書きすっからな!」


 またも狭い通路でマリーと激しく言い争いをしていると、その後ろからハトちゃんがライタの方をひょいと覗き込んで「おおっ」と感嘆の言葉を漏らした。


「なるほど『英雄殺し』ですか。流石はライタ様、お目が高いですね」

「だろだろっ! ほら、長老はちゃんと分かってるぞっ」

「え、『英雄殺し』……!? 一体なんなんですか、この大雑把すぎる刀身からはとても想像出来ないその妙に中二っぽい名前は……!」


 俺は期待と驚きが入り混じった気持ちでハトちゃんに疑問を投げかけた。さっきの土偶が再生と追尾能力を持ってたみたいに、この鉄板剣も「英雄殺し」の名に恥じない何かとてつもない能力を秘めているというのか……!?


「実は、この剣も古の魔女アンジェリカが作った魔道具なんですよ」


 あっ、もうなんか駄目な感じしてきちゃったぞ。


「え、魔女が剣を作ったんですか? しかもこんな無骨な?」

「ああ、一から話をした方が分かりやすいかもしれませんね。アンジェリカが生きていたのは今よりも遥か昔、結界術も無く、人間と魔族が争っていた時代なんですが、彼女には将来を誓い合っていた幼馴染がいたんですよ。やがてアンジェリカは稀代の魔女に、幼馴染は一流の剣士に成長し、二人で当時の魔王を討ち取って『英雄』と称えられるまでになったのです」

「へぇ~、そりゃ大したもんじゃないですか」

「んまぁ、将来を誓い合った幼馴染と魔王を倒すなんて、呪いの土人形を作った性格ねじ曲がった魔女にしては劇的かつ感動的な話じゃないの!」

「ええ、そこまでは良かったのですが……『英雄』と褒め称えられた幼馴染の男の方が国中の女性にモテにモテまくっちゃって、アンジェリカを捨てて、若くて美人な娘に乗り換えちゃったんですね」

「うわぁ、出世して昔の恋人を捨てるってアリガチな話だけど、ひどいな……」

「全く、これだから人間の男は! あんたもちゃんと反省しなさいよ!」

「おい俺は別に悪くないだろ!」


 まぁ同じ男として、ちょっと居心地の悪さはあるけど……あれ、でも「英雄」の幼馴染に捨てられたアンジェリカが作った剣の名前が「英雄殺し」ってことは……?


「あの、まさかこの『英雄殺し』って名前の由来って……」

「ええ、幼馴染が自分を捨てた事に激怒したアンジェリカは、その幼馴染をシバキ倒すために渾身の魔道具を作る事を決意したんです。そして出来上がったのが、この『英雄殺し』というわけです」

「うわあやっぱり! いや確かに『英雄殺し』なんだろうけども!」


 こんなの俺が期待してた「英雄殺し」のイメージと違う! わしはそんな昼ドラみたいなドロドロした裏話知りとうなかった!


「なによそれ、『英雄殺し』っていうか『浮気男殺し』じゃないの」

「こんな色んな怨念がこもってそうな血生臭い剣を使うのはちょっと……」

「いえ、名前は確かに『英雄殺し』なんですけど、それくらい気合いを入れて作ったってだけで、実際にはその幼馴染を殺したわけじゃないんですよ。言い伝えによると、この剣で幼馴染をしこたまドツキ回して強引に添い遂げたんだとか」

「あら、本懐は遂げたってわけね。良い気味だわ!」

「まぁ、その幼馴染は自業自得だな……あれ、でも魔王を倒す程の剣士相手によく剣を使って勝てたなぁ。しかもこんなに大きくて扱いづらそうな剣で……」

「ああ、それはこの剣の『魔道具』としての能力が関わってるんですよ。実はこの剣は持ち主の魔力を吸い取って糧とし、それによって力を増すという仕組みになっているんです」

「あっ、なるほど……魔女が使うのにぴったりの仕組みというわけですか」


 剣を通して魔力を武力に変換してるみたいな感じかね。俺も魔力多いらしいし、案外この剣と相性良いのかもしれないな。すっごいドロドロした負の感情が込められてそうなのが玉に瑕だけど。


「それじゃ、こんなに分厚い作りになってるのも何か深い意味が……!?」

「あ、それは単にアンジェリカが武器の鍛造に関してはド素人で、どうしてもそれ以上小さく作れなかっただけらしいです」

「えっ、そんな理由……」


 なんだよ、無駄に大きくなっちゃっただけかよ……。ま、まぁでも見た目のインパクトはあるし、ハッタリには使えそうだな。今回の目的にはぴったりだと前向きに考えるとしよう。


「じゃあ、とりあえずは大きな問題は無さそうだし、この剣をありがたく使わせてもらう事にするよ。見つけてくれてありがとなライタ」

「おう、ガンガン使え使えっ!」


 満面の笑みを浮かべるライタから剣を受け取る。いざ手に持ってみると、意外にも重厚な見た目に反して片手で軽々と支えられる重さだ。いや、それか俺の腕力が強くなってるからかな。


「あ、でもちょっと名前は変えようかな……このままだと何か怨霊に呪われそうだし……。勝手に好きな名前つけちゃっても構いませんかね?」

「ええ、問題ありませんよ」


 よし、ハトちゃんのお許しも出た事だし、ここはひとつ「英雄殺し」を上回るようなビシーッとかっちょいい名前でもつけてやるか。


「そうだなぁ、特に深い意味は無いけど『妖精殺し』とか良いかもしれんな! 特に何の意味も無いんだけれどもな!」

「おいざけんな! 絶対あたしへの当てつけでしょうが!」

「おいおい、俺は一言も『マリー殺し』とは言ってないぞ? 『妖精』としか言ってないのに自分の事だと思うって事は、何かしらやましいところがあるんじゃないのか? ん?」

「この場に妖精はあたししかいないでしょ! しれっと白々しい事言ってんじゃないわよ!!」


 ぎゃんぎゃん吠え掛かってくるマリーに対し、無言のまま「英雄殺し」の平べったい面を差し向けてみると、マリーは「ヒィ――ッ!」と悲鳴を上げて素早くハトちゃんの背後に隠れてしまった。なんか過剰反応気味だな。武道大会でハエ叩き攻撃にやられたトラウマがまだ残ってるのかもしれんな。


 ま、冗談はさておき、真剣にこいつの名前を考えてやるとするか。うーん……「北海道の恵み」、「十勝より愛をこめて」、「アズキ・ボルグ」……悩みどころだが……。そうだな、元の名前や作られた経緯が物騒だし、ちょっと可愛らしさを打ち出していくか。


「よし、決めたぞ……今日からこいつは魔剣『畑のお肉』だッ!」


 新たな名を高らかに宣言し、周りの物にぶつからないよう注意しつつ右手で剣をグッと掲げる。うむ、なんかさっきよりも輝きが増してる気がするぞ! 見た目はやっぱ長い鉄板にしか見えないけど!


「お肉ぅ? なによその調理して下さいと言わんばかりの覇気の無い名前は。あたしが考えた方が良いんじゃない? そうねぇ、『超美麗妖精マリーの一滴の涙のキラメキ』なんてどうかしら!」

「長い上にくそダサいわ! それにお前大豆をナメてんのか!? 江戸庶民にとって豆腐、味噌、納豆といった食品がどれだけ重要な栄養源だったと……」

「はいはい、長い上に訳分かんないゴタクはまた今度で良いから。武器が決まったなら次は顔を隠す物でも見つけて、さっさとこんな埃っぽいとこからオサラバするわよ。あたしはあっちの方を探すから、あんたも真面目に探しなさいよ?」

「おい、話はまだ終わってねぇぞ!」


 マリーは俺の制止を気にも留めず、言いたい事だけ言うと蔵の奥へブ~ンと飛んで行ってしまった。魔剣「畑のお肉」の記念すべき最初の獲物がたったいま決定したわ。


「お、次は防具探してるのか? そうだなー、おれのオススメはあっちの方に置いてある鎧だなっ。身に着けると意識を乗っ取られそうになるけど、その代わり魔力や筋力がスゲー増すらしいぞっ!」

「い、いや、今は魔力とかは間に合ってるから、意識を乗っ取られる事とかが無い、普通に顔を隠せそうなやつで良いかな……」


 やんわりお断りすると、ライタは「そうか?」と少し残念そうな顔になった。一歩間違うと狂戦士になっちゃいそうなのはちょっとね……今は別に「力が欲しいか!」って状況なわけでも無いし。


「それじゃ、また手分けして探そうか。剣は一旦ここに置いといて……と」


 物色し終わった場所に剣を立てかけ、まだ物色していない奥の方へと視線を向ける。すると、今度はセツカが先ほどのライタ同様に「おおーい、良い物あったよっ!」と俺たちをチョイチョイと手招きしていた。

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