吸血鬼というと怖いイメージがありますよね。人間の血を吸う怪物なのですから当然です。
ですが今作に出てくる吸血鬼はそう言った恐ろしさとは無縁の、大変可愛らしい女の子です。

ふとしたことから吸血鬼の先輩、優姫さんと仲良くなった主人公の遼君は、次第に心を通わせ、距離を縮めていきます。
時にじゃれ合い、時に血を与えながら、互いを好きになっていく二人。優姫さんの血を吸う行為も決して遼君に危害を加えたいのではなく、彼女なりの愛情表現、キスみたいなものと思ってもらえれば結構です。
こんな風にちょっと変わったスキンシップをとることもありますけど、吸血鬼だって一人の女の子。遼君から優しい言葉を掛けられたら喜んだり照れたりもしますし、構ってもらえなかったら拗ねたりもします。

大きな事件や激しいバトルはありませんが、そのかわりとろけるほど甘くてピュアな二人の恋物語が展開されます。
甘々な話が読みたい、相思相愛のカップルの話が好きだと言う方は、ぜひ一度ご覧になって下さい。

　吸血鬼の先輩ヒロイン・優姫と、優姫に従順気味な沈着冷静な主人公・遼との、甘い交流を描いた話。
　血が鉄の味、血はしょっぱいとかいうツッコミは無用。
　とにかく甘いの一言に尽きる。血を吸われる行為をここまで甘く書かれ（ここまでとはどこまで？　読めばわかります）、気づけば私は恍惚としページをめくる手が止まらない。よもや、私ら読者らが血を吸われ、優姫の眷族にされてしまったのだろうか。
　優姫と作者さまの眷族に、私はなってしまった。どうしよう。クライマックスを待ち望み、ウェディングケーキ級の甘々に期待します。

……と考えさせられた作品。
本来はもっと、ホラーっぽい行為ってイメージなんですけどね。
それをラブコメでやると、途端に淫靡な感じがします。

さてこの作品の最大の魅力ですが、間違いなくメインにして唯一のヒロインである先輩でしょう。
ちょっとツンツンしてるというか、高嶺の花っぽい雰囲気がすごくいいです。
そんな先輩と急接近していく高校生活には、やはり憧れます。

またサブヒロインなし、主人公と先輩の一対一のラブコメという点も、個人的に非常に好みです。
お互い一途なラブコメ、いいと思います。

俗に言う負けヒロインがいたり、どっちつかずなハーレム系主人公にイライラしたりすることもないので、ある意味安心して読めることも利点かもしれません。