誰にでも秘密はある 2
駅前にある大型ショッピングモールにやってきた。
中にはたくさんの店が入っておりだいたいの買い物はここひとつで済ませることができる。もちろん今日の目当ての映画館も入っている。
それで早速3階の端にある映画館に来たわけですが……。
「何を見るんですか?」
「私も決めてなかったんだよね……」
上映作品を見てみるとSF有名作や著名作家脚本のミステリが目に入った。
こんな時まで本に引っ張られてどうするんだよ……。そっちは本で読めるからパスだ。
となると恋愛ものかファミリー映画か……
「これなんてどう?」
「これ、ですか?」
優姫さんが選んだのはサスペンス。CMで見たが人が何人か死ぬやつだ。
絶対に選ばないと思って無意識的に除外していたのに……。
「面白そうじゃない?」
「確かに……」
気になってはいた作品だ。しかし優姫さんがこの手のものがいけるというのは意外だ。
「なら見ましょ、時間もちょうどいいし」
「ポップコーンは要りますか?」
「いつもは欲しいけど終わったら昼だからいいよ」
「了解、チケット買ってきます」
「はーい」
最近チケットは従業員が手動でやるのではなく機械が自動でやってくれるようになった。そのほうが楽でいい。
公開されて日数が経っているからか席は取れた。もちろん真ん中の少し上、見やすいところだ。
一番下がいい人、上から見下ろしたい人、出口に近くないと不安になる人、などなどいろいろ好みはあるらしいが首が疲れにくい無難な真ん中にしておいた。
「――ここで良かったですか?」
「私もいつも真ん中だから、大丈夫」
ほっとして一息つく。お気に召さなかったからと言って変えられるわけじゃないけれど。
「それよりどうしてこの作品に?」
「どうしてって…………」
優姫さんが顎に手を当てて考え始める。そこまで真剣に悩むような質問じゃなかったと思うんだが……。
「直感、かな?」
「直感ですか……」
10秒悩んでその答え……?
「面白そうだったから。何事も面白くないと楽しくないでしょ?」
確かに、納得。面白いことを探しながら生きてるような人だもんな……。
「何か失礼なこと考えてない?」
「いやいや、まったく」
首が取れるくらい振り回す。享楽主義だな、なんてこれっぽっちも思ってませんからっ。
「どう思われようと別にいいけどっ」
ふんっと効果音が出そうなくらいの勢いで横を向いて怒ってしまった。
「ごめんなさい……機嫌直して……」
「遼くんのバカ」
これは完全に怒ってますね。
それに対する対抗策は……状況的に1つしかない。
僕は優姫さんの耳に口を近づけて……
「そんな優姫さんのことも大好きですよ」
自爆攻撃を試みた。
「っな! 何よいきなりっ!」
効果は絶大だ!
顔中を真っ赤に染めて照れている!
「そんな言葉で誤魔化されたりしないんだからねっ」
腕を組んでまた横を向いてしまった。
今度は本気で怒っていないし顔が赤いので可愛い。
「もう入れますって、行きましょ」
「ちょっ、自分で歩けるわよ……」
口ではそう言いつつも嫌がることなく着いて来てくれた。
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