第23話 少女はざるうどんと野菜の天麩羅を味わう。

 今日、私はお聖人さんと共にこれから檀家さんの家まで来るまで向かっていた。


「ねぇ、お聖人さん。今日の檀家さんはどんなものをご馳走してくれるの?」


「ふふつ。絵里奈ちゃんは凄く食べ物が好きなんだね。」


「えぇ、私は直紀さんのお陰で様々な料理を作りながらそれを味わうのが凄く好きだから…。」


「そうか。でも、君は凄く料理が上手いから俺は貴様が凄く良い相手だと思った。」


「お聖人さん。私を褒めてくれてありがとうね。」


「あぁ、これから檀家さんの家まで行くぞ。」


「おぉ。」


 こうして私とお聖人さんはこれから檀家さんの三回忌さんかいきの為に檀家さんの家に向かった。


「こんにちは。」


「おぉ、君が絵里奈ちゃんか。凄く良いスタイルと健康そうな身体だね~。」


「えへっ。私はこう見ても墓守女子なんで病気も死も、老いも来ないんですよ。」


「ほう。それは凄い~。でも、そうなったらアンタは自殺すら出来ず、この姿の状態で何年も維持する訳だがそれでも良いんだ。」


「確かにそれはそれで辛いけど、私はそれでも嬉しいと思っているよ。」


「ほう、なら儂の家で育てた野菜をご覧になるか?」


「うん!?」


 私は檀家さんの家で野菜を見たかったのでそれを承諾し、見る事にした。

 ********

「ほれ、これは儂が作った獅子唐ししとうとトマト、そしてそれにキュウリ、大黒だいこくしめじ、千両茄子せんりょう なす、しその葉じゃ。」


「これが貴方の家で作られた野菜なんだ。」


「絵里奈ちゃんはどうやら欲しい様じゃから、帰るときに幾つか貰っておいて結構じゃぞ。」


「ありがとうございます。檀家さん。」


 私は檀家さんに感謝しながらこれからお腹を出して顔を伏せ、檀家さんの三回忌の準備をした。


「ほう、絵里奈ちゃんのおヘソは出ていて可愛いね。」


「へへ…。私のヘソは意外と可愛いと言われるからね。」


 私は檀家さんにお腹を触れられる行為は墓守女子の代償としてなので我慢するしかなかった。

************

 そして檀家さんの奥さんの三回忌が始まり、私はお腹を出しながら我慢するしかなかった。


 …私のお腹は出されているし、触られる。けど、これは我慢するしかない。


 お腹の中にいる直紀さん達の事を心配しながら、これからお腹がどんな様子なのか気になっていた。


 そして三回忌が終わり、これから私はお聖人さんと共に檀家さんの料理を味わう事にした。


「ほれ、乾麺かんめんうどんを水に戻して笊饂飩ざる うどんにし、天麩羅てんぷらには獅子唐ししとう、しその葉、大黒しめじ、千両茄子せんりょうなすをだすからな。」


「ありがとう。」


 私はこれからざるうどんと天麩羅てんぷらのご馳走を味わう事になりこれから食事を始めようとした。

*******

 そして、その天麩羅てんぷらを口に頬張った瞬間…、


「凄い。この天麩羅てんぷらはサクサクし、どんな野菜でも毒を消すかのような美味しさが出てくる。」


「どうしたのじゃ。」


天麩羅てんぷらってどんな野菜でも合うんだよね。」


「そうじゃ。どんな野草でも天麩羅てんぷらにすれば毒が消える。ただ、毒草はダメじゃから、それは食べぬように選んでおるのじゃ。」


「そうなんだ。」


「実は儂の妻は毒草を食べて亡くなったんじゃよ。」


「…。」


 私はこのおじいさんの奥さんが毒草を食べた影響で亡くなった事を聞くと私のお腹の中ではそんな遺体でも埋葬できる程の免疫力を持っている事は間違いなかった。


…確かに私は墓守女子の影響でどんな食材でも、大丈夫な位、免疫力が高いけどね…。


 私の身体はどうして免疫力が上がっているのか気になりながら、墓守女子は老いた人間や男性の遺体を埋葬するのに最適な場所として残される訳だから、免疫が相当強くなるのは当然だと思い、野草を食べた。

 そして、天麩羅からざるうどんを食べ始めた私はのど越しの良い、ざるうどんを啜りながら口に頬張り、良く味わった。


「凄い。天麩羅てんぷらの油を抹殺するほどの弾力とめんつゆの味わいから凄く後味が良くなる。これだったら薬味を与える心配はないな。」


 私はこの饂飩も特別に麺つゆを与えるほどじゃないと思いながら、これから私はこのご馳走を味わう事にした。


「ねぇ、この野菜は殆どおじいさんが作った野菜なの。」


「そうじゃ。儂は野草家でどんな野草が食べられるか、そうでないか調べておるのじゃ。」


「そうなんだ。」


「で、お主はむやみに野草をとるのでないぞ。」


「当然、毒があるからでしょ。」


「そうじゃ。野草には毒がある事もあるからむやみに食べてはいけないのじゃ。それが出来ない様じゃと野草を食べる資格はないからな。」


「へぇ~。」


「で、野草は天麩羅てんぷらにする事で食べやすくなるからそれも覚えておいた方がええぞ~。」


「ありがとう。おじいさん。」


 私はこのおじいさんが野草家だと知った時、彼がこんなにおいしい野草を提供した事に感謝した。

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