第15話 少女の腸内で寝泊まりする。後編。

『寒ブリのホワイトビーフストロガノフ』。


 ロシア料理であるビーフストロガノフに寒ブリのビーフストロガノフを使った料理だ。

 当然、俺はロシア料理をやりながらも創作料理に力を入れている為、鰤のさっぱりした油にビーフストロガノフは当初、相性悪いかと思っていた。

 しかし、俺はある方法を思い出し、これならいけると考え付いたのがしゃぶしゃぶでさっと油を落として、それからビーフストロガノフで作れば良い案だった。

 加えてクラムチャウダー方式で通常のビーフストロガノフよりあっさりした味を作らせ、それからぶりの茹でたしゃぶしゃぶを2つに切り分けて、最後にご飯と鰤を載せれば新しい鰤のホワイトビーフストロガノフが完成すると思った。


「よし、これが今日の俺の創作ロシア料理。鰤のしゃぶしゃぶを使って余分な脂を削ぎ落し、それからビーフストロガノフの材料であるエリンギ、人参などを入れて、牛乳と牡蠣かきを入れて、ご飯とビーフストロガノフを入れた後に鰤を載せて食べるアイディア料理だ。」


「直紀さん。凄い料理を開発しましたね。」


「あぁ、当然だ。この様な料理を作れなければ新しいロシア料理が開拓出来ないからな。」


 俺は伝統と因習は違うものだと感じている。

 伝統を作るのは最初に斬新な計画を作り、それで先進的な考えがあるからこそ、それが伝統になり強さを生み出してゆく。

 これは東急電鉄の田園都市計画、小田急のロマンスカー、阪急のマルーン車内など何れも斬新な考えから生まれる伝統に繋げられる。

 或いは読売巨人軍のV9の達成に関する強さなどを引き継ぐ事も後に伝統として生まれてゆくものだと俺は感じた。


 一方、精神論とかアメリカ的な価値観は既に因習であり、これらは時代に沿わなくなっているので、それらは伝統とは言えず、先進性もないのは当然だ。


 のは至極当然であろう。

 故に、伝統を作るのは先進性や斬新性、強さの記録などを達成できるから伝統として引き継がれる。

 俺はその伝統を作るには新たな創作料理が必要になると俺はつくづく感じるのであった。


「おぉ、これはしゃぶしゃぶでぶりの油を削ぎ落し、牡蠣かき人参にんじん、キノコなどを使ったホワイトビーフストロガノフにぶりを入れて食べる料理ですか?」


「そうだ。だからこそ、しゃぶしゃぶだけで勝負し、薄味を極力維持したんだ。」


 俺が薄味に拘る理由は、健康志向もあるが、繊細な味覚を守る為にこういった料理を手掛けている。

 濃い味ばかり食べると味覚音痴になり肥満になる事を俺は知っている。

 だからこそ、肥満を防ぐには薄味と噛み続けると味が出る味を生み出せば良いと思った。


「では、頂きます。」


 そして、日露交流協会の職員の1人がこの味を食べて、凄く変わった。

ぶりの余計なあぶらはしゃぶしゃぶで落としながらもエリンギ、人参にんじん牡蠣かきの味を上手く利用して鰤の味を生かしている。』

 俺はぶりの味を生かすには魚の味を使ったビーフストロガノフを作る必要があったからこそ、海鮮とビーフストロガノフを調合する必要があった。

 そして、この味は後に日露交流協会から評価され、俺は創作ロシア料理を更に開発を進める要因になった。

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