第8話 少女は創作料理に励む。

 横浜駅の崎陽軒きようけんで食べた料理から直紀さんが話掛けてきた事から私はこれから創作料理を作る準備を始めた。

 勿論、直紀さんは私のお腹の中で弟の柚弦ゆずると共に料理を作っている最中だが…。


「彩海。饂飩うどん乾麺かんめんから何を作るの?」


「ふふっ。エリぽん。饂飩うどん乾麺かんめんを水に漬けて戻してパスタ代わりに使うんだよ。」


「そうなんだ。で、アヒージョがあるけど、この油を使って何をするの?」


 私は饂飩うどんとアヒージョがどんな風に使われるのか良く解らなかった。


「今日は、アヒージョ海鮮焼うどんを作る訳。材料は加熱調理用の牡蠣かき、オリーブオイル大蒜にんにく鷹の爪たかのつめ饂飩うどん長葱ながねぎ、サフランを使用するから、確認してよ。」


 牡蠣かき、オリーブオイル大蒜にんにく鷹の爪たかのつめは言うまでもなくアヒージョを使用する為の材料なのはわかる。

 けど、饂飩うどん長葱ながねぎの他にどうしてサフランを使用するのか私には分からなかった。


 エリぽんはサフランを何に使うだろうか?


「エリぽん。何でサフランを使用するのか分からないだろう。」


「うん…。ちょっと…。」


 私はサフランという材料を使用するとき、材料を黄色くするものだと考えていた為、何故、使うのか分からなかった。


「これはね、饂飩うどん長葱ながねぎを黄色くして、焦げ目を目立たせない為の処置なんだよ。」


「そうなんだ。」


 私は改めてサフランの使用法補が饂飩うどんの焦げ目が目立たないようにするものだとはっきり解った。

 つまり、饂飩うどんの弾力とアヒージョの油で絡める際、サフランを使用する事で綺麗にまとまるものなんだなと感じた。


「で、エリぽん。饂飩うどんは15分経ったらゆでる皇帝に移ってくれ。」


「ありがとう。彩海。」


 饂飩が15分も調理すれば意外と簡単に出来るものだと解った私は、10分ぐらいたってからお湯を加熱する準備を始めようとした。

 *******

 それから8分。


「よし、お湯を沸騰する準備をするからね。」


「分かった。私はアヒージョの調理をしているから、饂飩うどんの湯ではそちらで任せてね。」


 私は、饂飩うどんが15分すぎるまで待つことにした。

 *********

 それから15分。


 ―――よし、水切るぞ。


「おぉ、エリぽんは水切るのが上手いなぁ。」


「当然。それは私が直紀さんのロシア料理で饂飩うどんとサワークリームを使って調理しているから当然だよ。」


 私は、饂飩うどんで水を切ってからこれから饂飩うどんを茹で始めた。

 ********

 それから茹で上がった饂飩うどんを冷ました後、これからアヒージョと長葱ながねぎ、サフランを混ぜる事で次第にアヒージョ饂飩うどんが次第に出来上がった。


「出来たね。エリぽん。」


「そうだね。彩海。」


 互いに作った饂飩うどんは凄くできが良くしかもその調理速度の速さから意外と簡単に出来るのだと感じた。

 最も、アヒージョと饂飩うどんが最後に混ぜていれるだけだからサフランの調理だけで進むのは知っているから…。


「では、食べるよ。」


「うん。」


 私はアヒージョ饂飩うどんを試食する事にした。


「凄い。アヒージョの油と牡蠣の味、更に饂飩の弾力が上手くかみ合っている。」


 その味に私は圧倒してしまった。


 なんて、油と饂飩の弾力が合わさった味なんだろうか?


「ふふっ。エリぽん。私がサフランを使用した理由は油の味を強調させないようにしているんだよ。」


「そうなんだ。彩海。」


「で、饂飩うどんにもぬめりを取って一度冷やしたのは油とサフランを上手く調合する為なんだ。」


「だから、油と弾力が上手くかみ合わさるんだね。」


「その通り。」


私は、アヒージョとサフランが凄い役割するなんて彩海が言わな変えれば気づかなかった。


「そして、アヒージョの油には必ずオリーブあぶらを使用する。だから、しつこさを抑える上でも有効なやり方なんだ。」


「凄いね。彩海。」


「へへへ。私もこういう料理を作ってお兄ちゃんに食べさせてあげたかったんだ。」


「そうなんだ。でも、私は柚弦にも料理を手伝っているけどな。」


 私はうっかり、弟の柚弦の事を自慢してしまった。

 すると…、

 

「良いなぁ。アンタの柚弦は料理を手伝って…。私の兄は料理は女がやるものだといいながら、部屋の掃除は自分で片づけているんだよ。」


 私は、部屋の片づけはしているなら、それで良いと思っていた。

 でも、彩海は自分のお兄さんが料理を手伝わない事を凄く嫌がっているのは間違いないなと感じた。

 

「ねぇ、エリぽん。アンタのお腹に耳を当てて良い?」


「いいけど、直紀さんや柚弦の情報を聞くとか?」


「勿論、その通りだよ。」


「うん、ありがとうね。」


 私は彩海に感謝しながら、彼女の耳に私自身のお腹を充てる事を許諾した。


「うん、アンタの弟と直紀さんは凄く料理を手伝っている事がお腹の外から出も聞こえるね。何よりもエリぽんの浅ベソは可愛くて綺麗だよ。」


「恥ずかしいけど。彩海が褒めるのは嬉しい。」


「ふふっ。エリぽんのおへそは自慢できると思うから、もっと肯定して…。」


「ありがとう。彩海。」


 おへその話もさることながらそれを褒めてくれるエリぽんの話を聞いて私は凄く嬉しいと感じた。


 彩海。今日は創作料理を手伝ってありがとうね。


よし、私もこれから直紀さんに負けないように創作料理を作らなくては^_^


皆が満腹に近い状態である事を知りながら皆が出たくなるまで崎陽軒の中で待つ事にした。


それで皆で出たい時に支払って出ようと思った。

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