第3話 少女は家から帰って暖かい晩御飯を頂く。

 私は奥さんを亡くしたおじいさんの家からお聖人しょうにんさんの車に同行してこれから私の家まで向かってくれた。


「お聖人さん。私の家まで同行するんだね。」


「あぁ、墓守女子は様々な形態があって仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、神道など様々な形態で墓守女子が要るんだ。」


「へぇ~、墓守女子って様々な宗教や宗派の人間が頼んでいるんだね。」


「そうとも。世界中でが懸念されてから。そして体内葬たいないそうへと移行したんだ。」


 どおりで、私が老いや死、そして閉経へいけいを失ったのはその為だったのか~。

 そして亡くなった人間が墓守女子の体内葬を行う事はつまり、女性の体内に戻る意味もあると私は思った。

 でも、それが悪いわけじゃない。


 私達、墓守女子は、選ばれた上で15歳を過ぎると特殊な細胞を体内に埋め込まれる。

 そしてその細胞を埋め込まれると小腸・大腸・腎臓・子宮などの腹部ふくぶ臓器は脳の影響が無くなり癌細胞が殆ど死滅する。

 そして体内では特殊な細胞のお陰で各臓器の免疫が強くなり、性病に患っても完治してしまう。

 そして癌細胞は熱を上げる事で死滅させる細胞も持ち始めた。

 その結果、私達を化け物と呼ぶ人もいるけど、大部分は普段の生活を過ごせるから女子高生や若い女性のの姿を保っている事以外は違和感を持たれない。

 そして、遺体を私達の栄養にして、新たな生命を作る為に、埋葬されるからこそ余計にそう思うんだ。

 そして、遺体の肉体は私達、墓守女子の体内で新たな卵子に切り替わる。

 これはお墓不足と少子高齢化対策によって考えられた日露共同研究の賜物でもあった。

 どちらも欧州を含んで人口減少や少子高齢化、男性同性愛者ゲイの増加が原因で対策され私達墓守女子が生まれた。

 そして私、墓守女子が子供を出産する際、に限り墓守女子として生まれる。

 ただ、墓守女子は人口増加抑制の影響で普通の女性より男の子が生まれる確率が高く、割合としては8:2と男の子が生まれる割合が圧倒的に高い。

 その代わり、産まれた女の子は15を過ぎると老う事がない上に、死や閉経を失うのでいつでも出産が出来る体制は整えられる。

 だからこそ、私は墓守女子でも決して悪いとは思っていない。

 だからお聖人さんの仕事をこなしているんだ。


「で、君の腸内にはロシア料理のレストランがあるだろ。」


「えぇ、直紀さんが運営しているロシア料理店『ノヴァ―ヤ』が私の体内で営業しているけど…。」


「何か、お寺の仕事ばかりやっていると、たまにロシア料理が食べたくなるんだよな。」


「そうですか…。でも、戒律上、無理ですよね。」


「そうかもな。でも、君の体内レストラン『ノヴァ―ヤ』は確か10組40席あるレストランなんだよな。」


「うん、私のお腹の中のレストランが凄く繁盛しているのは何か複雑な気分もするような感じが…。」


 私のお腹の中でレストランが運営されているのは墓守女子の宿命だった。

 墓守女子はお墓だけでなく体内に商業施設の営業も許可されている。

 そのせいか、私達の体内ではレストランやスポーツ用品店など様々なお店が運営していた。

 但し、機械系の店は禁じられているが…。


 そして私を乗せたお聖人さんの車はようやく、私の家である海老名市国分付近に到着した。


「おつかれさん。では、私は久能寺に戻るからこれからも宜しく…。」


「えぇ、ありがとうございます。」


 私のお腹の中で直紀さんが帰るのを待ちながら、これから私の家に戻った。


「お姉ちゃん。おかえり。」


「ただいま。柚弦ゆづる。」


「姉ちゃんのお腹には彼氏がいるだろ。」


「いや、私に彼氏いないから…。」


 私はお腹を弄られるのが凄く嫌だったけど、それでも柚弦ゆずるは私のお腹が温かいと思ったせいか、これから私と柚弦ゆずるで料理を始めようとした。


「できたね。柚弦ゆずる。」


「うん、お姉ちゃんと共に作った料理は凄く嬉しいよ。」


「てへっ。では2人でいただきましょうね。」


「おう、今日は釜茹で饂飩うどんと海老のあら汁か~。美味しそうだよな~。」


 私の両親は共働きで残業がなくても帰りは部屋の整理準備の為、ホームセンターに寄って変える事も多いので遅くなる。

 けど、柚弦ゆずると食べる暖かい饂飩と海老のあら汁をご馳走すると暖かいと感じた。


「お姉ちゃん。海老のあら汁が美味しいよ。」


「ありがとう。柚弦。」


 私と柚弦は暖かい料理をご試食しながら夕飯を過ごした。


 「姉ちゃん。この饂飩。凄くコシがあって美味しいね。」


 「ありがとう。柚弦ゆずる。私はお聖人さんや多くの遺族の仕事。そして直紀さんが作るロシア料理をやっているお陰で凄く料理が上手くなったよ。」


 「姉ちゃん。大丈夫。俺も姉ちゃんがいたから美味しい料理が作れ、手伝えるよな。」


 柚弦は私の料理を褒めるだけでなく私が料理を手伝っている理由も私がいた事で作れた話を聞くと何だか、私の頬が凄く赤くなり、自分がいたから柚弦もいたんだと感じた。

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