第2話 少女たちは葬儀を終えた後、遺族と共にごちそうする。

 今日は日曜日。

 学校はお休みなのだが、檀家だんかの家で三回忌するお陰で私は檀家さんの前で顔を白い布で隠してお臍を出して準備を行う事になった。

 何故、こうなるのか…?

 私達、墓守女子は檀家さんと共にお聖人しょうにんさんと同行しながら、お葬式の際、顔を白い布で隠し、お臍を出さなければならない。

 何故なら、お焼香をする際に私のお腹の中に遺骨が埋められており、顔を出すと遺族を思い出せない事が理由になっていた。

 当然、この状況を私は良いとは思わないけど、檀家さんやお聖人さんの為に、私達はそういう決まりを守らざるを得なかった。

 墓守女子に埋められる遺体や遺骨はそのお聖人さんが所属するお寺に帰属する。

 だからお聖人さんと必ず同行しなければならない。

 休日も辛いが、三回忌さんかいきなどが終えた時、多くは私のお臍周りを撫で撫でし、手入れまでしてくれる。

 その上で、ご馳走まで奢ってくれるからその点は忙しくても凄く嬉しいと感じた。


 ―――あっ。お経が始まった。でも、私は顔を出す事が出来ないんだな。


 私はどんな状況でも三回忌などをやっている際は顔を出す事が許されない。

 そしてお腹が寒くても隠す事が許されない中で私はずっと耐えるしかなかった。


 ―――おや、可愛い嬢ちゃんのせりあがった浅臍が凄く可愛いな。


 と、私の近くにいたおじいさんが私の前でお焼香を行い、私の前で祈りながら、その後、私のお腹を優しく撫でた。


 ―――うぅ、恥ずかしいけど、撫でられるのが凄く気持ちいい。でも、あえぎ声が出せないから我慢しないと。


 喘ぎ声を出すと、後でお聖人さんに怒られるので暫く、三回忌を終えるまで我慢した。

**********

 それから檀家の三回忌を終えた後、私とお聖人さんは檀家さんと共に食事し、これから檀家さんと共に遺族とお食事を行う事にした。


「すまぬ。わしは、妻を亡くしてから、妻の大切さを感じるようになってきたんだ。」


「おじいさん。妻を亡くしてから凄く辛いの?」


「えぇ、わしは妻を亡くしてから一時期、何をすれば良いか分からなくなっていた。妻が乳癌にゅうがんで早く失くしたからと儂はどうする事も出来ぬのでな。」


「そうですか…。」


 私はその話を聞いて、涙を流しながら、妻が夫より早く失くすこともあるんだなと感じた。


「僕のお母さんは、交通事故で無くしてそれからお父さんは料理ができなくて、凄く辛かったんだよ。絵里奈ちゃんは、お母さんが亡くしてしまうとどう思う?」


 そのおじいさんの息子が私に母親を早く失くしてしまったらどういう気持ちになるのか問いただした。


「私もお母さんがいないと、美味しい料理を食べられない上、兄弟は皆、男ばかりだから、やっぱり寂しさを感じるよ。」


「そうか。絵里奈ちゃんもそう思うのはやっぱり君が母親思いだからかもな。なら、僕がお袋から伝授した海老のあら汁を召し上がりってほしいし、料理も伝授して欲しい。」


「ありがとう。」


 私はおじいさんの息子と共に彼の亡き母親から伝授したあら汁をごちそうし、私のお腹と心が一瞬で温まった。

 そして、彼の母親の遺体がいる私のお腹の中がほっこりした。


 「なんか、私のお腹の中で凄く暖かく感じるのは貴方たちが温かいあら汁を提供してくれたからだよ。」


 「そうか。なら、絵里奈ちゃんも料理を手伝ってくれないかね。」


 「うん。」


 と、私は海老のあら汁をご馳走した後、お腹が温まりながら、海老のあら汁を料理した。


 「お聖人さん。これが絵里奈ちゃん特製のあら汁です。」


 「絵里奈。これはお前が作ったのか?」


 「うん、これが私が作った海老のあら汁です。」


 「わかった。では、私が頂こうとしよう。」

 

 私の身体を担当しているお聖人さんは、私が作った海老のあら汁をご馳走し、その汁を舌にほおばった。


 「凄い。塩や味が薄くても海老の風味を損なわず、潮の味がする。絵里奈ちゃん。料理も上手くなったな。」


 「ありがとう。お聖人さん。」


 「ほほ、私も絵里奈ちゃんが作ったあら汁は凄くおいしかった。今後も来たらご馳走を提供してくだされ。」


 「ありがとう。おじいさん。」


 私とおじいさん、そしておじいさんの息子とお聖人さんで海老のあら汁を楽しみながら、温かいひと時を過ごした。

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